蒼の間
□和
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「大きなため息ですこと。ため息ばかりついてると幸せが逃げていきますよ。」
「そうですよ。土方さん、もういい歳なんですから。あ...ってもう幸せ尽きた頃かも。」
「総司、いい加減にしておけ。」
近藤さんの部屋の襖が空いて入ってきたのは、和服姿の奥さんと総司、斎藤だった。
近藤さんは今日の段取りを奥さんと話出したので、俺も気を取り直し話を聞いた。
お客様が外国人ということで、千年桜の下で[野だて]と称する抹茶を振舞うらしい。
まぁ、外国人で親日家には珍しいさもあってインパクト強だな。
「準備も粗方できてるってえことで、立ち位置や座席なんぞの確認でもしとくか!」
俺の声にみな立ち上がり、千年桜のある庭へ向かう。
そこには大きな赤い番傘と赤い毛氈が掛かった小ぶりな机と椅子、
手前にお客様ようの椅子とその後ろに俺たち用の椅子があり、
「おいおい!ずいぶん本格的じゃねぇか。これどうしたんだ?」
思わず近藤さんに訪ねると、
「今回は強力な助っ人がいるからな!うむ、実に楽しみだな!」
なにか気に食わねぇ〜んだが...。
「お言葉ですが、社長。助っ人とは?」
斎藤が気になるのも当たりめぇか。
「心配いりませんよ。私にお任せくださいな。」
そういった奥さんに、にっこり笑われちゃ〜、斎藤も、たぶん同じことが気になってた総司も、返す言葉がなかった。