V小説。
□ありす一家。
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「んっもぉ…いぃもんっ。将くん将くぅーんっ!!」
ヒロトは今度はドタドタと、有須家長男、将の元へと駆けて行った。
バタンっ!!
「ねぇ、将くぅーんっ!!見て見て見て。今日図工で作ったのぉっ↑↑」
将の部屋のドアを開けるなり、ヒロトは机で勉強していたらしぃ将の傍に貼り付く。
「うわぁ、かっこイイなぁ。ヒロト一人で作ったの??」
「ぅんっ!!そだよっ!!人造人間のね、ヒロト1号と2号なのっ!!」
ヒロトは、Naoと沙我の時と同じよぅに2体の説明をする。
「へぇ、強そぉだなぁ。上手にできましたっ☆」
将はニッコリと笑って、ヒロトの頭をくしゃっと撫でる。
「えへへっwwそんでなっ、コイツらな、空も飛べるんだぜっ!!そんでぇ、口からビーム出すのぉーっ!!」
さっき言ってたことと、多少の矛盾があることにも気付かず、ヒロトはニコニコと満面の笑みで将に人造人間を見せている。
「そんでそんでぇ、ここのボタンを押すとぉ、こーんなでっかくなるんだぜっ、こーんなっ!!」
ヒロトが短い両腕をめいっぱぃ上下に広げて"こーんな"のポーズだ。
「そんな大きいのかぁっ、じゃあお兄ちゃん一発で踏み潰されちゃうなぁ」
「ぅんっ!!れっどりぼんぐんも全滅しちゃうんだぜっ!!ドッカーンッて…だけどね、将くんは俺が守ってあげるから大丈夫なのっ!!」
「そっか。ありがとなっww」
将はまた優しく笑って、ヒロトの髪を撫でる。
「えへへっ…なぁ、だから将くんに2号貸したげるっ!!はぃっ!!」
「えっ!?」
「行けぇー1号ぉーっ!!必殺空中連続パーンチっ!!トリャトリャトリャーッ!!!!」
「えっとっ…ぽん??」
「スーパーウルトラジャーンプっ!!えいっ!!」
「ちょっ…ぽーんっ!!」
「ふゃ??」
1号のジャンプの途中で、ヒロトが不思議そぅに将を見つめる。
「ぽんごめんな??俺今、受験勉強中なんだょね…」
将は心底申し訳なさそぅに言う。
「お勉強ぉ??」
「そっ。もぉすぐたぶん明希も来るから、二人でお勉強なの。ごめんな??また今度遊ぼぅな??」
「えぇー、将くんまでそんなこと言うのかよぉ…」
ヒロトは1号を握りしめたまま俯き、唇を尖らせる。
「だからごめんって。今度いーっぱぃ遊ぼぅなっ!!ヒロトの大好きなドラゴンボールごっこでいつもみたく俺がフリーザ役やってやるからっ!!なっ??」
「ぷぅーっだっ!!」
将が優しく言い聞かせてもヒロトはその場を動こうとしなぃ。
「ぽん??お願い許して??」
「やぁだぁーっ!!俺と人造人間で遊んでくんなきゃやだやだやだぁーっ!!!!」
ヒロトがそんな我侭を言って将を困らせている時に、ピンポーンと、玄関のチャイムが鳴った。
「あっ、明希だっ…」
「えっ!?明希兄??俺が出るぅーっ!!」
突然玄関まで走り出したヒロトの背中を見届けて、将も慌てて立ち上がる。
「お邪魔しまぁっす」
「あーきにぃっww」
ヒロトが将の友人、明希を、仔犬のよぅな笑顔で迎える。
「あっ、ヒロトくん久しぶり。おっきくなったねっ」
「ぅんっ!!」
「4年生だっけ??」
「ぅんっ!!ねぇ明希兄、将くんなんかほっといて俺と遊ぼぉーっ!!はぃっ、2号っ」
「へ??ニゴウ??…えーっと……」
「こぉら、ぽんっ!!」
明希が突然手渡された2号に戸惑っている所に、将がヒロトを抱き抱えた。
「うあーっ将くん、下ろしてぇー」
ヒロトは将の腕の中でジタバタする。
「だぁめ、ぽんはここでいぃ子にしてるのっ」
将がヒロトを抱き抱えたままリビングまで移動し、ソファにヒロトを下ろした。
「ごめんねヒロトくん。また今度遊ぼっかっ」
明希がそぅ言ってヒロトを慰める。
「しょーくんっ…」
「後でなっ」
将はヒロトをそこに残して、明希と共に自室へと姿を消した。