V小説。
□新弥くんの恋人(第2話)
2ページ/4ページ
俺は、大きく息を吸い込んで、決意を固め、黄泉の体をソファーに押し倒した。
「わっ!!」
必要以上にコイツとキスとかしたくないから、適当に、首筋やら鎖骨やらに舌を這わせる。
「はぃストップ!!」
と、早くも瑠樺さんに止められた。
「…何だよっ」
この時点で、もう何か問題があるんだろうか…
「口説き文句、言うべきじゃね??」
「はぁ??」
「えぇー、別にそんなのいらない」
「瑠樺さん言わねぇだろ、絶対!!」
「俺は言わねぇよ??相手がゾジならいらねぇと思うよ??でもそれはさ、コイツがそうゆぅ俺を求めてるからなわけよ」
「ぅん、黙って襲われる方が好きぃ♪」
「でも新弥は俺じゃねぇし、那月はゾジじゃねぇわけじゃん??俺、那月は新弥のクッサイセリフとか、好きだと思うんだよね…」
「あぁ!!そいえばこないだも、俺たちがドン引きしたとこで、新弥さんカッコ良い〜って言ってたねっ」
「そぅなんだよ。なんだかんだ言って、那月は新弥にベタ惚れしてる。それを利用しない手はないと思うんだけどっ」
「なるほどっ!!」
「つまり、口説けと…」
「だって那月は新弥と付き合うよりずっと前から新弥のこと好きだったんだろ??ずっと片想いしてた奴に求められたら嬉しいに決まってんだからさ」
「でも今の那月くんは、新弥の可愛いとこにムラムラするって言ってたじゃん??ってことは、可愛く攻めたらノックアウトなんじゃない??」
「か、可愛くっ…!?」
可愛く攻めるとは、どういう攻め方なんだろぅと一瞬考えて、俺は寒気がした。
「ばーか、それじゃ逆効果じゃねぇかよ!!相手のSっ気刺激してどぅすんだよ!!」
「あ、そっか…でもカッコ良い新弥は、憧れの対象でしかないって言ってたよ??」
「だぁから、そのカッコ良い新弥を受け入れたくなるように仕向けんだよ。俺は今、オマエを必要としてんだぜアピールをすんだよ。オマエのことを抱きたくてたまらないっつー欲望を口にするんだよ。憧れの人が自分を求めてくれてるって思えば、応えてあげたいって思うだろ??てか、実際そう思ってんだろ??」
「確かに、アイツは努力してくれてんだけどな…」
「だったら後は新弥がどんだけ那月を陶酔させるかじゃん。可愛いとことかヘタレなとことか、見せねぇように頑張るしかねぇじゃん」
その瑠樺さんの言葉は、妙に説得力があって、俺は思わず、なるほどと思ってしまった。
もちろん、自分が可愛いともヘタレだとも自覚はしてないが。
「よし、じゃあ最初っから」
その瑠樺さんの掛け声で、黄泉はソファーに座って俺を見つめた。
俺は、口説き文句とやらに散々迷った末、黄泉の肩を掴んで、顔から火を吹く思いで口を開く。
「か、体が、オマエを求めてる…今すぐ、オマエを抱きたくてたまらない…オマエの、那月のすべてを、俺のものにしてしまいたい…」
言ってしまった後に、黄泉が軽く吹き出したのが気に触ったが、
とりあえず、一瞬だけアヤミちゃんに視線を送った後、俺はがむしゃらに黄泉の体を撫で回し、乱暴に舌を這わせた。
「んー、68点」と、瑠樺さんが呟くように言った声が耳に届く。
だが、そんなの気にしていられない。
「男になれ、俺!!」と、自分に言い聞かせながら、俺は黄泉の服を手荒な手付きで脱がせながら、手と舌で必死に黄泉の体を愛撫する。
「んっ…あっそこ…新弥さんっ…あっ!!気持ちぃ…」
瑠樺さんに見られながら俺に犯される自分に興奮してるのか、それとも演技なのか、黄泉は絶えず、甘い声を出す。
こっちとしては、無理矢理にでも那月の体だと錯覚したいのに、台無しだ。
おかげでしょっちゅう俺は、瑠樺さんがめくってくれる写真集の中の、アヤミちゃんのヌードの力を借りるハメになっている。
「ほら、もっと足開けよ!!」
「んっ…やぁっ…あぁっ…」
別に、コイツの股関が見たいわけでもないのに、いつのまにかこの「実践指導」に真剣に取り組んでる俺がいる。
見た目はもちろんだが、触った感触も、那月のより一回りも二回りも小さい黄泉のソレは、
それでも小さいながら、精一杯に背伸びしながら俺に快楽を教えてる。
「んっ…あっ…もっと…擦って…ああっ!!」
那月はそんなこと言わねぇよ!!と、内心毒づく。
「あ??これが気持ちぃの??」
それでも俺は、瑠樺さんの教え通り、カッコ良い新弥を演じる。
上から順番に、舌を這わせてきて、いよいよという所で、俺は一瞬怯んだ。
これを、口に含んでいいものか…
しかし、ここまで来たら、やるしかない。
変に男らしいブツよりも、小学生みたいなコイツのの方が、同じ愛がないにしても、抵抗は少ないかもしれない。
俺は、覚悟を決めて、くわえこもうとした。
が、
「はぁいストップ!!」
ここで、瑠樺さんに止められた。