V小説。
□先輩の危険な教え。
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「まぁとりあえず大事なのは、男らしくいることだと思うよ」
「男らしく…」
「そ。そりゃ確かに、沙我くんとヒロトじゃ全然タイプは違うわけだけどさ、でも彼らにだって男としてのプライドがあるわけよ。別にゲイなわけでもなけりゃオカマなわけでもなぃんだからさ、ごく一般的な男としてのプライドってあるじゃん??そこはたぶん沙我くんにもヒロトにも言えることだと思うわけ」
俺は今、虎氏とサシで飲み中。
ヒロトと出逢ってからだぃぶ経ったけど、
付き合い出してからも、そこそこ経ったけど、
体の関係を持ち始めたのはごく最近で、
俺にはまだまだ、男同士のルールがよく分からない。
ヒロトの気持ちも、よく分からない。
だから、俺らよりずっと前から沙我くんと…えっと…つまり…そ、そぅゆぅことを…
要するに…、せ、せっくすをしている虎氏に、
いろいろと、あんなことやこんなことにつぃて、こっそり聞き出そうとして呼び出したわけだけど、
なんかこの人、予想以上にノリノリで、メモまで取らされてるっていぅ…
「でも、だったら余計に、こっちはちょっと下手に出て、向こうを立ててあげた方が良ぃんじゃなぃの??」
「はぁ…まったくこれだから…そんなだからヒロトにナメられんだぞ??」
「なっ、ナメ…られてんのか…俺…」
「だからつまりさ、普通の1人の男として、同じ男に抱かれるわけだからさ、相当な覚悟がいるだろうし、自分を納得させるためのそれなりの理由って言うの??言い訳が欲しいわけよ、彼らは。」
「…なるほど」
「相手のことが好きとか嫌いの問題じゃなくね??どんなに好きな奴だとしても、ヘタレな男に抱かれるってのは、プライド許さない部分ってあると思うのね??」
「ぅん。」
「自分的にはホントは上になってコイツのこと抱いてやりたぃんだけど、なんせコイツ変態でドSで悔しいけどめちゃくちゃ巧いから仕方なく抱かれてますってさ、そぅ自分に言い聞かせたいっつーかさ、沙我くんもヒロトも、どっちかっつーとそういうタイプじゃん??どぉぞご主人様お好きなよぅにボクを食べてくださぃなタイプじゃなぃわけじゃん??要はツンデレじゃん??自分がMだとかぜってぇ認めねぇじゃん??本音は苛められんの大好きなくせに」
「あぁ…言われてみれば確かに…」
「だから俺らは、とことんドSで、とことん変態で、とことん男らしくいなきゃダメなわけ。分かる??」
「はぁ、分かる気がする…」
なるほど、深い。
さすが虎氏。
「具体的な話をすればさ、まぁ基本的なことなんだけど、とりあえず『嫌だ』とか『やめて』とか、真に受けたらダメだぞ??」
「…と、言いますと??」
「いぃ??ちょっと潤んだ目で、顔赤くして、『いやぁ』とか言われたら、ほぼ100%信じなくていぃ。恥ずかしくてつぃつぃ口を付いた照れ隠しだから。冷たい氷触って間違えてアチッって言っちゃったりするのと同じだから。むしろ、やめてって言われた時こそ、ガッツくタイミングだと思え」
虎氏はそぅ言って、もぅ何杯目か分からないグラスを開ける。
きっとだぃぶ酔ってるんだろぅけど、
俺も酔ってるからよく分からない。
「あとは、とことん焦らすことだなっ。男も女も、焦らされたら焦らされただけ感じる。」
「はぁ。でも虎氏って女性経験…」
「ぅっせぇ!!そこはいぃんだよ!!とにかく焦らせっ!!『早く』って言われてバカ正直にすぐにブチ込むとか、もったぃねぇぞ??そっからが可愛ぃんだから」
虎氏の言葉に、思わず沙我くんのそぅいぅ姿を想像してしまう。
「あと、普通に指で解すのもいぃけど、物を使うとネコは喜ぶ。」
「もっ!!物って、つまり…」
「別になんだっていぃんだよ。そりゃ、ロータとかバイブとかも楽しいけどさ、毎回だと飽きるし??え、こんなん入れるの??っつー意外なモンとか、適当に目に付いたモンとか、色々試してみろよ。そのうち好みが分かってくるから」
「はぁ…」
「まぁ、そんで最後に『将くんのバカぁーっ』とでも言わせりゃ上出来じゃね??」
「バカって言われてんのに??」
「抱かれた後のバカは愛してるって意味なんだよっ」
「そぅなの??」
「そぅなのっ」
やっぱりなかなか難しい。
まだまだ俺には分からないことだらけだ。
勉強になる。
「今日、この後会うんだろ??」
「ぅん。ヒロトのうちで。たぶんそろそろ帰ってる頃だと思うんだけど…」
「じゃあ早く行ってやれよ」
「虎氏は??沙我くんと会わないの??」
「会うよ。俺んちで待ってる」
「え、ずっと??」
「うわ、もぅこんな時間なんだ…今頃アイツ、我慢できずに独りで始めちゃってるかもな。アハハッ」
俺もだぃぶ飲みすぎたけど、
どぅやら虎氏もかなり出来上がっている。
2人してフラフラになりながら店を出ると、外はもぅすっかり深夜だった。
風が少し冷たくて気持ちいぃ。
「じゃっ!!教えた通りに上手くやれよ!!」
「ぅん、ありがと」
そう言って虎氏と別れると、
俺は回らない頭でシュミレーションという名の妄想を繰り広げつつ、ヒロトの元へ急いだ。