V小説。
□可愛ぃ子には意地悪を。
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「明希くーん。明希ぃー。そろそろ起きようよ、ねぇ、ホラ、外はいぃお天気ですよぉー」
午後1時。
明希よりも2時間ほど早く起きてた俺は、寝顔観察にも飽きてきて、部屋のカーテン開けて、明希を起こしにかかる。
「明希ちゃーん。あーきー。」
「んっ…んん…」
頬っぺたをツンツンしてみても、耳たぶ引っ張ってみても、ちょっと嫌そうな顔して寝返りを打つだけで、起きる気配はない。
あ、口開けて寝てる…
可愛ぃ。
パシャ。
保存。
まったく、さっきからこんなことの繰り返しで、お寝坊さんの明希ちゃんのせぇで、俺の携帯に明希の寝顔ばっかが増えていく。
「ねぇ明希さぁん、起きないと襲っちゃうよぉ??」
正直、さっきからかなりムラムラしてんのよ??俺。
だって昨日の夜はさ、今日がオフだから久々に2人で飲んで、久々に2人で熱い夜を…と思ってたのに、
俺の部屋に来て早々に寝ちゃうんですもん、この子。
俺がシャワー浴びてる間に爆睡しちゃってんですもん。
疲れてたのは分かりますけど、酔って散々「しんぢぃ〜♪えへへww」とか甘えてきた後でそのオチはツラすぎる…
俺、可哀想すぎる…
「あーきっ!!ホラ、昼ですよっ!!」
気持ち良さそうに寝てるとこを、
ちょっと乱暴かなとも思ったけど、
でももう十分寝たはずだし、
俺はユサユサと明希の体を揺さぶって、
本格的に起こしにかかった。
「明希っ!!起きてっ!!」
「ん…に……まっ…」
「はぃ??何ですか??」
「…にじかん…まち……」
「へ??」
確かに2時間待ちましたけど??俺。
「だめっ…むり…ぷぅさん…」
プーさん??!!
何がダメなのっ!?
何が無理なのっ!?
これは俗にいうアレですか??
淫夢ってやつですか??
あの有名な黄色いクマと??
ぃやぁ、なんていうか、
けっこぉキワドイこともわりと喜んで受け入れちゃう子だっていうのは気付いてたけど、
明希ちゃんつぃに動物にまで…
ガバッ!!
「…っ!!」
「ヤッベ!!遅刻っ!!」
俺が彼の意外な新境地に驚きを隠せないでいると、
明希が突然起き上がった。
ガシッ!!
ジャラっ!!
ダダッ!!
かと思うと、財布と携帯を持っていきなり部屋を飛び出した。
「ちょっ、明希ぃーっ」
スウェット姿にボサボサの髪のまま、玄関で慌てて靴履いてる明希の背中に、俺は遠慮がちに声をかけてみる。
「うわぁっ!!」
「うわって何よ…」
「なんで居んの!?」
「ぃや、昨日2人で飲んでから、一緒に帰ってきたでしょお??てゆか、今日オフでしょお??」
「へ??…あれ??…オフだっけ??…そっか…」
明希はまだ起きてないらしい頭で、必死に現状を理解しようとしてる。
俺と飲んでたくだりより、明希にとっては今日がオフかどうかの方が重要らしいことがちょっと寂しい。
「そっかぁ、オフなのか今日。あー焦った…」
そう言いながら明希はまた部屋の中に戻ってきて、ベッドに腰を下ろした。
くしゃくしゃの髪の毛と、うつろな目、
タバコをくわえて、火を付ける仕草、
座ってる時の足の角度。
寝顔も可愛ぃけど、やっぱり起きてる時の明希がいぃ。
それも、カメラの前の気取った明希じゃなくて、
この無防備な、決して男前とは言いがたいスイッチオフな明希がたまらなく可愛ぃ。
「ねぇ??」
俺は、ベッドに腰かける明希を、後ろから抱きしめながら問いかける。
「ん??」
明希は、ちょっと心地良さそうな表情になって、返事する。
「さっき、どんな夢見てたの??」
「夢??なんで??俺何か言ってた??」
「ぅん。プーさんがダメとか無理とか…」
「あぁ、そぉだ。ディズニーランド行ってる夢見てた」
「プーさんと??」
「はぁ??なんでプーさんとディズニーランド行くのよ。プーさんはディズニーランドに居るもんでしょ??」
「じゃあ誰と行ったの??」
「メンバーと。で、ゆうやがどうしてもプーさん乗りたいって言うから、じゃあ明希ちょっと偵察してきてよってマオくんに頼まれて、でもプーさんめっちゃ並んでて、2時間待ちとかで、それをみんなに伝えなきゃーって思いながら、なぜか1人でみんなを探してディズニーランドを走り回ってたの」
「はぁ〜ん、なるほどね。しんぢくんてっきり明希ちゃんがプーさんに犯されたかと思っちゃったよ。」
「はぁ??何をどぉ間違うとそぉなるわけ??」
明希は、タバコの煙を吐きながら、呆れて笑う。
俺もつられて笑う。
で、明希の背中をギュッてして、首筋に顔を埋める。
あぁ、幸せだ。
俺は幸せだ!!
「ねぇ…」
ちょっと遠慮がちに明希が問いかける。
「ん??」
「俺、あんま覚えてないんだけど、昨日、したの??」
「うぅん。明希シャワー浴びた後、髪も乾かさずに寝ちゃったじゃん」
「そぅだっけ??」
「そぅですよ」
「じゃあさ…」
「ぅん」
「今から……しよか??」