V小説。

□いつもと違う俺たち。
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こんな派手なメイクしたの、何年振りだ??

鏡の前に立って、俺は自分の姿をまじまじと眺めてみる。

自分でゆぅのもアレだけど、

ちょっと今日の俺はそこそこいぃ線いってる気がする。

だが、そんな俺とは比較にならなぃほど輝いてる男がここに1人。

「なんか新弥、新弥じゃなぃみたぃ」

俺の全身を一通り観察してから、ポツリと咲人が言う。

今日、俺は咲人と2人きりで雑誌の撮影。

俺はダークなメイクにダークな衣装。

目の周りが広範囲で黒く塗り潰されてて、右側だけ髪をアップにしてる。

そして咲人は俺とは対照的な真っ白ぃ衣装にキラキラメイク。

空から降ってきたんじゃなぃかってくらぃ、幻想的で、ため息が出るほど美しく化けてる。

お互い、こんなガッツリヴィジュアル系なカッコするのはかなり久々だ。

「てゆか、人間じゃなぃみたぃ。ゲームとかに出てきそぉ。何だろ…妖怪??怪物??」

え??

せっかく俺は結構気に入ってたのに…

てかゲームに出てくるんならせめて魔王とかにしてもらえませんか??

「妖怪かよっ…」

天使みたぃな顔してるくせに、コイツの容赦なぃ毒舌は相変わらずだ。

ホントに、柩以外には全然優しくねぇんだもんな…

心の中でだけ、そんな愚痴をこぼしながら、俺は咲人をじっと見つめた。

咲人はテーブルに置いてあるお菓子をムシャムシャ食べながら携帯をいじってる。

衣装から所々覗ぃてる素肌が眩しい。

なんか、情けないけど、妙に体が疼いた。

いつもと違う俺。

いつもと違う咲人。

ゾジーも、柩も、瑠樺さんも、うるさぃ奴は誰1人いなぃ空間。

やばぃ。

考えちゃいけなぃことばかりが俺の頭の中で暴れ出す。

「…咲人っ」

「んー??」

俺が声をかけても、咲人はお菓子を食べる手を止めず、視線も携帯に張り付いたまま。

「えっと…」

例え俺が妖怪だとしても、オマエが俺には天使にしか見えなぃって、そぉ言ってやろぅとして口ごもる。

「…よく似合ってるっ」

結局、そんな無難な言葉で片付けてしまった。

「へ??あぁ、ぅん」

しかも、めっちゃ生返事なんですがっ…

「すげぇ…綺麗だと…思ぅよっ…」

「まぁ、俺だし??」

あぁ、そぉゆぅこと言うわけね…

咲人は明らかに俺の言葉よりもお菓子と携帯の方に興味深々なご様子。

前言撤回。

やっぱりコイツは天使なんかじゃねぇ…

「ホンット可愛くねぇなぁオマエっ」

思わず、そんな言葉が口を突く。

「新弥に可愛ぃって言われても迷惑だしねっ」

なっ…!!

迷惑って…

そこまではっきり言われたら、俺だって正直ヘコむんですがっ…

「俺はっ…ぃと…てた…ど…」

「へ??何??」

「だから、俺は前からずっとオマエのこと可愛ぃと思ってたっつぅのっ!!」

少し強気にそぉ言ってやったら、咲人はやっと視線を俺に移した。

「そりゃ迷惑かもしんねぇけど??別に思うだけなら俺の勝手だろっ」

半分ヤケを起こしながら、俺は吐き捨てるよぉに言った。

今までも、何度となく曖昧な言葉で想いは伝えてきたつもりだけど、

コイツはいつだって柩に盲目で、

俺に気持ちが動くことなんて、1度だってなかったのが現実。

「で??」

「はぁ??」

だから、急に真剣な目付きになって俺のこと凝視する咲人に戸惑った。

「で??他に言うことなぃの??」

「他っ…??」

「あれ??誘ってくれるわけじゃなぃんだっ…」

「へっ!?」

さっ…誘ぅっていぅとアレかっ…撮影終わったら飲み行こうとか…

必死に冷静装いながら咲人を見たら、ちょー上目遣ぃで俺を見上げてた。

やべぇってっ!!

んな顔されたら、下半身にクるっ…

「どぉせ新弥、俺のこのカッコ見て興奮しちゃってんでしょ??」

全部見抜いてるかのよぅに、サラッとそんなこと言う咲人。

「ばかちげっ…」

「いぃよ、誘ってみなよっ」

何なんだこの展開っ…

まともに咲人のこと見てられなくなって目ぇ反らしたら、俺の視界に鏡に映った自分の姿が見えた。

そぉだった。

今日の俺はいつもの俺じゃなぃ。

この姿だったら、咲人だってもしかして、まんざらでもなぃんじゃねぇの??

「咲人っ」

「はぃ」

「この後さぁ…俺とどぉ??」

「いやだっ!!」

「なっ…!!」

「断るっ」

「………」

「咲人さぁん、撮影でぇすっ」

「はぁいっ♪」





「咲人っ…綺麗だよっ……今夜、俺に抱かれてみなぃか??……プッ…ハハハハハッ!!新弥くっさっ!!てかそれでフラれるとかダッサっ!!」

後日、俺は3人に散々バカにされるハメになったっ…

普通そぉゆぅこと平気でバラすか??なぁ咲人さんよぉ…

「咲人っ…俺はずっと前からオマエのこと、可愛ぃって思ってたっ…愛してるよ咲人っ…」

ゾジーが俺の声色を真似ながら、咲人の頬にわざとらしく指を這わせてる。

もぉ、ここに居たくない。

「あぁ咲人っ…そんな目で見つめたらダメだっ…俺はもぉ…我慢できなぃっ…」

「ちょっ、ゾジーっ!!脚色しすぎだっつのバカっ!!」

俺が反論した所で、ゾジーはくさい芝居を辞める気配はなぃ。

柩はゾジーの隣でケタケタ腹抱えて笑ってるし、

瑠樺さんなんて「ちょっと腰引けてる方が新弥っぽぃんじゃね??」なんてゾジーに余計な要求までしてるし。

「なぁ咲人っ…俺と一緒に狂っちまおぅぜ??」

「だぁから、んなこと言ってなぃっ!!いぃ加減にしろよっ…」

そぅは言ったものの、実際同じ意味の言葉を口にしたのは確かなわけで、思い出すと情けなさすぎて泣きたい。

「何??そんなに良かったの??そん時の咲人っ」

瑠樺さんが悪戯な微笑を浮かべて俺に歩み寄ってきた。

「まぁ…なんか、新鮮だったっつか…」

「で、ムラッときちゃったんだ??ねぇ??」

瑠樺さんがそぉ言ぃながら俺の太股を撫で上げる。

「ばっ…やめっ!!そんなんじゃねぇからマジでっ…」

「新弥さぁ、ちょっとカッコ良くしてもらったからって調子に乗っちゃダメでしょ〜」

そぅ言った柩の笑顔の裏には、咲人は俺のだっ!!っていぅ敵対心がしっかり浮かび上がってる。

「ハハハッ!!楽しみだなぁショックス出るのっww新弥ムラムラした顔してるかなぁ??」

ゾジーがデカイ声で咲人に聞く。

「ぅん。すっごぃヤラシぃ顔してるよっ」

「てか、新弥常にヤラシぃ顔してるけどなっ」

「元の顔がヤラシぃんじゃね??」

「アハハっ!!変態顔の新弥ぁ!!」

「黙れっ!!」

「でもあん時の新弥、明らかに自分に酔ってて面白かったぁっ」

「酔ってねぇよっ!!」

最終的に、咲人にまで怒鳴ってしまったっ…

とにかく、ゾジーが早いとここの遊びに飽きてくれるのを切に願う。

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