V小説。
□逆ギレの末の過ち。
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「まじありえねぇアイツ。いつまで拗ねてんだよっ…なぁ、俺そんなに酷いことしたか?もう俺のこと避けてんのバレバレなんだよ。俺の顔見てビクビクしやがって…俺は幽霊か?あ?」
「はいはい、そうっすねぇ。でも元はと言えば瑠樺さんが悪いわけでしょ?」
「そうかもしんねぇよ?確かにそうかもしんねぇけど、いつまでもグダグダ気にすることでもねえだろ?」
「いやあ、だってあの時の瑠樺さん、ホント怖かったしさ、黄泉相当ショックだったんじゃないの?」
「だからちゃんと謝ったじゃねえかよっ!それなのにさっさと俺に背ぇ向けて出て行きやがって…ホント可愛くねえ…」
俺の隣で、瑠樺さんが口調を荒げてる。
その原因は、寝起きで不機嫌だった瑠樺さんに、超ハイテンションでじゃれついた黄泉を、「うぜぇんだよ、オマエ」と冷たく突き離した今日の朝の出来事だ。
それから一日中、黄泉は瑠樺さんと口をきかず、最初は腰低めで優しく謝ってた瑠樺さんも、黄泉のシカト攻撃に痺れを切らしてこの有様。
まあいわゆるアレだ。逆切れってやつ。
「いっつもそうなんだよ、アイツは。言いたいことあんなら黙ってねえで直接言ってくりゃいいだろうがっ!どうせまた陰でこそこそ柩にでも愚痴ってんだろ?なあ新弥、そう思うだろ?」
「どうなんだろね…まぁでも、瑠樺さんに嫌われるのが怖いんだと思うよ黄泉は」
陰で愚痴ってんのは自分も一緒だろ、と言ってやりたいのを飲み込みながら、俺はなるべく親身になってあげてる振りで答える。
ちょっとのことを深く考えすぎて落ち込みすぎる黄泉も黄泉だが、あの時の瑠樺さんの口調は確かにとてつもなく冷酷だったのも事実なわけで…。
この2人、いつになったらお互いの性格を把握するようになるんだろう、と、いつも思う。
「ふざけんじゃねぇよっ、怖がる理由がねぇだろが。アイツにちょっとやそっと説教喰らったくらいで嫌いになるわきゃねぇじゃんっ!そんなに信頼ないのか俺は…」
瑠樺さんがそう言ってビールのジョッキを傾け、一気に飲み干す。
いつにも増してイライラしてるのが見て取れる。
こうなった瑠樺さんは、そっとしとくのが一番だ。
俺が何か言った所で、聞き入れるとも思えない。
「なあ新弥…」
「ん?」
「相手しろ」
「…は?」
相手というのが、一体何の相手なのか、俺はすぐに理解することができなかった。
少し飲んで、一通り愚痴り散らして、お酒に弱い瑠樺さんは割とすぐに酔っちゃって、そのうち怒ってる自分がバカらしくなってきて、突然「帰る」って言い出すいつものパターンを予想していた俺にとって、次の瞬間の瑠樺さんの行動には、とにかく戸惑うしかなかったわけで…
「ちょっ…ちょっと瑠樺さん?ねえ、何してんの?」
「見て分かんない?ボタン外してる」
「ばっ…俺の服なんか脱がしてどうすんだよっ!」
「へ?服脱いだらすること一つだろ?」
瑠樺さんは、そう言いながら鼻で笑った。
酔ってる。
明らかに酔ってる。
いくら男好きな瑠樺さんだって、俺を抱こうなんていくらなんでも尋常じゃない。
「ちょっと待てってっ!瑠樺さん目ぇ見えてる?俺、黄泉じゃねえけど?」
「ちゃんと見えてるよ。俺、新弥大好きだもん」
だっ、だっ、大好きだもんって…。俺は、瑠樺さんが3杯目のビールを注文するのを止めなかったことを今更後悔した。
黄泉がパツパツのTシャツを着てきたってだけで欲情してトイレの個室に引きずり込む瑠嘩さんの気持ちなんて、もちろん俺には到底理解できないにしろ、それでもまあ黄泉にそうゆう魅力があるのはよく分かる。
その愛して止まない黄泉にそっぽ向かれて、咲人や柩に「相手」を頼むのなら、それもギリギリ頷ける。
だけどよりによって俺っていうのはないだろ、なあ。
アイツらみたいな女々しさも可愛らしさも何も、カケラだって備わっちゃいない筈のこの俺の首筋に、瑠樺さんはチュッと音を立ててキスしてきた。
「…マジかよ……」
俺は信じられない思いで瑠樺さんを見つめる。
「待っ…とりあえずさ、ほら、水飲んで、ちょっと落ち着こっか。な?」
「嫌だ」
いっ、嫌だって…。その言い方はまさに駄々を捏ねる子供そのもので、俺がパニくってる間にも、瑠樺さんの手はシャツのボタンを全部外し終えて上半身の愛撫に取りかかってる。
「ちょっ…やめってばっ!俺なんかとシたってつまんねえから絶対っ!てか、無理だからっ!それ以前に場所的にやばいからっ!」
そう、なんてったってココは居酒屋。
まあ、全室個室だし、酔った勢いでおっ始めちゃうカップルが結構居るとかゆう話は聞くけど、それにしたって居酒屋は居酒屋。
「何でもいいの。今シたいんだもん。我慢できねえもん。」
瑠樺さんはそう言いながら俺の突起に舌を這わせてきた。
舐めながら喋るもんだから、熱い息がモロにかかって、くすぐったさに思わず肩が震えた。
「ちゃんと感じれるんじゃん、ココ」
瑠樺さんは楽しそうに笑いながら俺の突起で弄ぶ。
「ちっげえよっ!くすぐったいだっ…んあっ…」
妙な力加減で甘噛みされて、自分の意志とは関係なく、変な声が出てしまった。
「へえ…新弥、くすぐったいとこんな声出すんだ」
「ばか、やめってばっ…んっ!」
今度はキツく吸われて体がピクンと跳ねた。
瑠樺さんの大きな手の平が俺の背中で流れるように動いてる。
力ずくで突き放したい意思はあるのに、抵抗しようと思えばいくらだって出来るはずなのに、体が全然動かない。
なんつーか、結局アレだ、まあ、そりゃ俺だって認めたくねえけど、うん、なんつーか、巧すぎるっ…
「新弥、エロイ顔んなってるよ?鏡見る?」
「要らねえよっ…」
割と凄みを効かせて言ったつもりだったのに、細い声しか出てない自分に焦る。
「あっは。ねえ、気持ち良くなって来たんでしょ?俺にヤられんの、嫌じゃないかもって思えてきちゃってんでしょ?」
新しい玩具を見つけた子供のようなはしゃぎっぷりで、瑠樺さんは俺とぴったり密着して、耳元でそんなことを言う。
「んなこと…ねえよっ…」
「嘘吐け。ちゃあんと勃ってっけど?」
その言葉に、まさかと思い俺は自らの下半身に目をやった。
信じたくなかったけど、確かにソコは誰の目にも明らかなほど、主張を始めてる。
「実は前から俺のこと好きだったとか?」
「ばっ!んなわけねえだろっ!冗談じゃねえよ…」
「ムキになるとか、可愛いとこあんじゃん。新弥のくせに生意気っ」
そんな訳の分からないセリフを吐き出した直後、瑠樺さんの手は、俺のベルトにかかってた。
カシャカシャと、慣れた手付きでそれを外すと、あっという間にジーパンのボタンが外れチャックが下りる。
「だあーっ!待っ、ちょっ…」
「何?もっと焦らされてえの?」
ツツーッと瑠嘩さんの指が下着の上から俺のをなぞる。
「んっ…」
全身に電流が走るような感覚。
「近くで見るとホントでけぇな。俺、デッカイの大好き」
そう言いながら今度はギュッと握られる。
「んんっ…はあっ…」
とても自分の口から出た声だとは思えないような声が喉から零れた。
「悪いけど、たっぷり遊んでやれるほど、余裕ないんだよね、俺」
瑠樺さんはそう言うと、俺のジーパンを下着ごと一気にずりおろし、固く勃ち上がった俺のに、何の躊躇いもなくしゃぶりついた。
「んっ…ふぁっ…」
その瞬間から、快楽が俺を襲う。
瑠樺さんのフェラは、今までに経験してきたどんな女よりも遥かに巧くて、俺はもう、抵抗の言葉すら出てこない。
「んはっ…はあっ…」
クチュクチュ、ピチャピチャと、わざとらしく音を立てながら、瑠樺さんの舌が、絡み付くように動く。
上下に何度も吸い上げられる。
瑠嘩さんの手によって押し広げられた俺の太腿が、刺激を受ける度にガクガクと震える。
「ああっ!出るっ…んっ…んああっ!」
5分も経たないうちに、俺はあっけなく瑠樺さんの口内に欲を吐き出した。
「早ぇな。新弥って早漏?」
俺のを容易く飲み込んだ瑠樺さんは、ますます楽しそうな顔になってる。
「…ばっ、か、ちげえよっ!」
そう反論した声も、あまりに情けなくて死にたくなる。
もしかして俺、ホントに実は早漏なんじゃないかとか、心の奥で疑ってる俺がいる。
どっちにしろ、男に銜えられてこんな興奮してんなんて異常だ。
いくら巧いってったって、瑠樺さんは瑠樺さんなわけで…
朦朧とした頭でそんなこと考えながら、乱れた息整えてたら、急に下半身が宙に浮いた。
「っわ…」
瑠樺さんが、俺の両足を思い切り持ち上げて広げた。
俺の秘部が、もう、丸見えなんてもんじゃない、あまりにも屈辱的な体勢。
イッた直後の息子は、だらしなく倒れ、汗ばんだ上半身で腹筋がピクピクしてる。
「恥ずかしいカッコ」
自分でそうさせといて、瑠樺さんは珍しいものでも見るような目でまじまじと俺の体に視線を貼り付けてる。
「ローションねぇから少し痛ぇぞ」
「は?入れんの?」
「ったり前」
「いや、無理無理無理無理っ!!」
「うるせぇよ。すぐ良くなるから我慢しろっ」
「ちょっ!待っ!あっ!いっ!痛ぇよバカっ!いった、あっ!んっ…あっ…あっあっああああぁぁぁぁーっっっ!!」
「はあぁーっ!?瑠樺さんに喰われたぁー!?」
「ばっか、声でけぇよ!黄泉に聞こえたらどぉすんだよ!」
急にでかい声を出した柩の口を、俺は慌てて塞ぐ。
翌日の撮影現場。
もちろんコイツらに話すつもりなんて全然なかったんだけど、下半身のありえねえトコの痛みと闘ってたら、咲人に勘付かれ、ごまかしきれず、咲人にくっついてた柩にまで打ち明けるハメになった。
「瑠樺さんも末期だなぁっ…よりによって新弥って…新弥って…フッ」
咲人がそう言って鼻で笑った。
「何が言いたいんだよ!」
「だって、だって、ねえ?」
「あはっ…だよねぇ…新弥が瑠樺さんに…ふははっ!」
「笑うなよ!何にも可笑しくねえよ!」
そんな会話をしてるこの瞬間だって、俺のソコは悲鳴を上げてる。
痔にでもなってんじゃねぇかってくらい痛い。
痛すぎる。
ホント、全然笑えねえ。
「ねえねえ、もし俺がすんごい怒って、しばらくシてあげないって言ったら、咲人、新弥のこと抱く?」
「まさか。ない。絶対ない。冗談じゃない。考えたくもない。」
ちょっ…咲人さん何もそこまで言いますかっ…
「だよねえ、良かったww」
そんな会話からイチャイチャに発展した二人の元から静かに去りつつ、歩くたびにズキズキと痛む下半身を呪いつつ、俺はこれからは少し、黄泉に優しくしてやろうと心に決めた。
end.