V小説。
□脳ある狼は牙を隠す。
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ツアー先のホテル。
深夜0時。
だぃぶ前から俺たちの部屋に准とののが居座ってはしゃいでる。
つぃさっきまでヒィロも二人と一緒になってキャンキャンしてたんだけど、
プロレスごっこをしてる姿を見かねた俺が、「シャワーでも浴びてくれば??」と言って引き離してやった。
だから今、アイツはバスルーム。
准とののがベッドの上。
俺は、メンバー間ものまね大会が迫熱してヒィロが二人にいじられまくってる段階で既に風呂を済ませたから、バスローブ姿でソファーで晩酌。
最近のνにはよくある光景。
「うわぁっ!!ちょっと准くん今本気だったでしょーっ!!」
「ののくんだってマジでやってんじゃんっ!!」
「くっそ、とりゃーっ!!」
「いっ…てっ!!頭とか狙うなよっ!!」
今、この二人が騒いでるのは枕投げ。
何の捻りもない、ただ枕を投げるだけの遊びで、ここまではしゃげるコイツらを、ある意味尊敬したい。
「いぃ大人が…」
俺が思わずボソッと漏らす。
「ん??れぃぽん何か言った??」
「ぃや、それさぁ、自分らの部屋でもできることなぃ??」
俺の言葉に、ののがあからさまに不服そぉな顔をする。
「だって、ヒィロくん居ないとつまんなぃもん。ねぇっ!?」
「ねぇーっ!!」
准がののに同意する。にまって笑って首傾けちゃったりとかして…
その仕草、ヒィロならきっと死ぬほど可愛ぃんだろうけど、
どぉせこの二人の笑顔の奥は、ヒィロをひたすら集中攻撃して「やめろよぉっ」とかいうアイツのピュアな反応を楽しみたいだけに決まってる。
俺はふぅーっとひとつ、溜め息をついて、一気にグラスを空けた。
「うぉりゃーあっ!!」
どすん!!
ばたん!!
がしゃがしゃん!!
「ひゃあーっ!!」
「あーあ。」
不自然な物音と、いつもよりいっそぅ高い声を出したののの悲鳴に、嫌な予感がして顔を上げると、
部屋の隅においてあった俺のカバンが倒されて、見事に中身が散乱していた。
「れぃぽんごめぇんっ!!まじゴメンっ!!うわ、どぉしよっ…」
ののは、大袈裟なくらぃ慌てながら、必死に俺に手を合わせて謝ってきた。
「ぃや、別にいぃケド…。ちゃんと元に戻しといてょっ」
だぃぶお酒も回っていた俺は、深く考えもせずにそぅ言って、それを聞いたののが慌てて俺の荷物を片付け始める。
「俺も手伝うょー」
そぅ言いながら准も床に散乱した服やら小物やらを拾っている。
冷静に考えたらそれがとんでもないことだって気付けたハズなのに、お酒の力は恐ろしい。
しかも、ちょうどそのタイミングでヒィロがバスルームから出てきたもんだから、俺の意識は全部そっちに向いた。
「あー気持ち良かったぁwwちょっとのぼせちゃったかも」
そぅ言いながら手で顔をパタパタしているヒィロは、全裸にバスタオル女の子巻き。毎回のことだが、これが可愛くてたまらなぃっ…
「コラーゲン飲まなくちゃっ!!れぃぽんもお酒ばっか飲んでなぃでたまにはこぉゆうのも飲まなきゃだめだよぉ」
「へ??あ、あぁうんっ…」
ヒィロの身体に見とれてたことを悟られないよぉに、適当に答えておく。
「ちょっ、ヒィロくん何それっ!!男なんだから腰巻きで良くない??」
准がすかさずヒィロイジリを再開する。
「えっ…だって、恥ずかしいじゃんっ…」
「何??俺らに見られるのが恥ずかしいの??」
「恥ずかしいと思っちゃだめなのかよぉっ」
「だったら向こうで服着てくりゃいぃのに…そのカッコの方が恥ずかしいだろ、絶対っ!!」
准が楽しそうに笑う。
余計なことを言うなと、心の中で叫ぶ俺。
胸を隠すことによって、足がかなりキワドイとこまで見えるってことに、コイツはせっかく気付いてなぃのに、准に言われて次からこの姿してくれなくなったらどぉすんだっ…
「てゆか、ののくん何してんのぉ??」
「あぁ、枕投げしてて、れぃぽんのカバン倒しちゃって、片付けてんのっ」
「ふぅん。でもれぃぽんの荷物シンプルだからねぇ。これでエロ本でも出てきたら面白いのに…」
「ハハッ、たぶんなぃよね、れぃぽんに限って…。ヒィロくんはどぉせ女々しぃもんばっか持ってきてんでしょ??美肌用品とか…」
「それはだって、必需品だょ??あ、ねぇ俺も枕投げ入れてよぉっ!!」
「よし、じゃあアレ片付いたら再開なっ!!」
バスタオルの件は、とりあえず気にしてなぃらしくて何よりだが、
そんな二人の会話の中で、何かが引っ掛かる。
何かとてつもなく重要なことを忘れてる気がする。
二人の会話を回らない頭でリピートしながら考える。
ん??
エロ本でも持ってたら面白いのに…??
エロ本でも……あっ!!
「うわぁーっ!!!!!!」
俺が気付くのと、ののが甲高い叫び声を上げるのはほぼ同時だった。
「ののくん待ってっ!!それだめっ…」
「れぃぽん何これぇーっ!!!!!!」
俺がどんなに頑張ったって、ののの声に勝てるハズはなぃ…
「え、何??エロ本??」
「そんなレベルじゃねぇってばっ!!ちょ、どぉ思います准くんこれっ!!ツアーに持ってくる荷物としてはあきらかおかしいですけどっ!!!!!!」
「だからそれはだめだって…あぁ見るなっ!!見なくていぃからっ!!」
「えぇーっ!!!!!!」
またも、俺の声をかき消して准の叫び声。
「え…れぃぽん…これって…え??」
続く、ヒィロの戸惑いの声。
そこでもぅ俺は戦う気を失って肩を落とした。
ののの手から准へ、そしてヒィロへと渡ったソレは…
まぁいわゆる…
だからその…
もしもヒィロとそぉゆう雰囲気になった時のために備えたグッズたちなわけで…
「ちょっ、れぃぽん何に使うのこれぇっ!!」
「誰に使うのっていう質問の方が正しいかもね…」
「えっ!!まさか二人ってもぉ…」
ののが恐る恐るヒィロの顔色を窺うと、ヒィロは驚いて首をブンブンと横に振る。
「じゃあアレかぃ??れぃぽん。隙あらば襲っちゃいましょう的な…」
「いやぁ…どぉなんだろうね…」
もぅ適当に言い逃れるしかなぃ。
「それとも夜な夜な女の子と密会??」
「ばっ!!んなわけなぃだろっ!!コイツ以外興味ねぇしっ!!」
ヤバイ、思わず声を荒げてしまった…
「うわ、そんなムキになんなくていぃよっ!!でもヒィロくん相手にコレ、必要なわけ??」
准がゴムを俺に見せつけながら言う。
「だってほら、男同士の中出しは後が大変だって言うじゃん??」
「なかだっ…!!はぃー??知らねぇって、そんな知識っ!!」
「うわうわ、さらに卑猥なもん出てきたぁっ!!」
ののが叫びながら手にしてたのは、
まぁ、スイッチを入れるとブルブルと震えるアレだ。
「やだぁー!!俺れぃぽんのイメージ狂ったんだけどぉっ!!」
「めっちゃヤラシィ音するしっ!!これでヒィロくん苛めるつもりだったの??きゃあ怖いっ!!紳士な顔して狼じゃんっ!!」
よく響くののの声が大きくなる度にハラハラさせられる。
隣の部屋のマネージャーが留守であることを切実に願うばかりだ。
「デカイ声で騒ぐなってっ…」
「あ、じゃあさっきしまったあれってもしかしてっ…」
そぅ言いながらののが取り出したのは、こなぃだ通販で買った潤滑ローション。
「化粧水か何かだと思ったらちゃっかりしっかりこんなものまで…」
ののはすっかり呆れ顔だ。
「えーっと、あえて聞くケドれぃぽんこれは…」
「初めてだと痛いから可哀想だろっ??」
もぉどうにでもなれという気分で准の質問に答えてやると、ヒィロが顔を真っ赤にして視線を泳がせていた。
胸の上で巻いたバスタオルが、今にもハラリと落ちそうだ。
可愛ぃ。
コイツはこんな俺に絶望しただろぅか…
「あのさぁ…」
「はぃ??なんですか狼さんっ」
「出てって。コイツと二人にさせて」
微笑みを浮かべて言ってやった。
准とののが一瞬固まる。
「あ、えーっと、じゃあ俺らは部屋でゲームでもしますかぁ??」
「…うん、それがいぃ。そぉしよっ!!行こっ!!じゃっ!!」
准がののの手を引くよぉにして、二人が部屋を出ていった。
俺は、ヒィロに視線を向ける。
「ゴメンな、枕投げはまた今度な」
「…ぅん」
ヒィロは、どんな顔して俺を見たらいぃのか分からないといった表情をしている。
「おぃで」
そぅ言って俺がソファーの隣を勧めると、ヒィロが一瞬ビクッと体を震わす。
そんなあからさまに意識してます的な態度とられたら、理性が飛びそうだっ…
「大丈夫。何もしなぃから」
なるたけ冷静を装って言うと、ヒィロはゆっくりと俺の隣にきた。
その細い肩を抱いてやる。
俺は再びグラスに酒を注いで、少しずつ飲む。
いつもと何も変わらない光景なハズだ。
「ねぇ、れぃぽん…」
「ん??」
恐る恐る口を開いたヒィロに、優しい声で答える俺。
「れぃぽんはさぁ、俺とそぉゆう…えっと…そぉゆうこと、したぃの??」
なんて可愛らしぃことを聞くんだろう。
「さっき、見た通りだよ。したくなかったら持ってこないでしょ??」
「でも俺っ…」
「大丈夫っ」
思い詰めてる様子のヒィロがいたたまれなくて、俺はヒィロの濡れた髪をグシャグシャっと撫でた。
「オマエが嫌がること、俺がするわけなぃじゃん」
「違っ…違うの」
「ん??」
「俺もね…俺もれぃぽんと…したぃ…」
ヒィロの言葉に、俺は全身に電流が流れたような気がした。
「今、自分が何言ったか、分かってる??」
「ぅん…」
「俺でいぃの??」
「れぃぽんがいぃのっ!!」
このバカっ!!どんだけ俺を悶えさせりゃ気がすむんだっ…
プツリと理性の糸が切れた。
俺に、狼が宿った。
続くかも。