V小説。
□天使のロリータミルク【復讐編】
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柩「で、見つかった??例のアレ」
黄「ぅん、ばっちり!!じゃーん!!」
柩「グッジョブ!!よくやった!!」
新「なぁ、やっぱりやめねぇ??絶対後悔するぞ??」
柩「うるさぃ!!新弥は黙ってて!!」
俺は今、ゾジーと新弥と居酒屋で密会してる。
なぜこのメンバーなのかというと、今回の計画のターゲットが、咲人と瑠樺さんだからだ。
ちなみに、俺とゾジーさんが被害者。
新弥は目撃者。
俺は、俺の中の「空白の1日」について、今、とてつもなく怒りに震えている。
何としてでもあの2人に復讐をしないと気が済まない。
新「黙れって言うなら、最初から俺を巻き込むなよー」
柩「ダメだよ!!新弥は貴重な証人なんだから!!咲人の奴、あの日のこと全然話してくんないんだもん!!新弥の協力なくして、この復讐は成立しないの!!」
新「それならもっと腰低く頼んでもらいてぇけどな。人のことオジちゃんとか呼んどいて…」
黄「アハハ!!オジちゃん!!ねぇねぇ、俺は新弥のことなんて呼んでたの??」
新「オマエには何とも呼ばれてねぇよ、しゃべれなかったもんっ」
黄「なんだぁー、つまんないっ」
ゾジーはそぅ言ってウーロン茶のグラスを傾ける。
俺はそれを見て、さらにムシャクシャして、ジョッキに残っていたビールを一気に飲み干した。
柩「あのさぁ、ゾジさんは悔しくないわけ??自分の知らない所で、丸1日も2歳児になって過ごしてたんだよ!?」
新「コイツは0歳児だけどなっ」
柩「どっちでもいいよ!!でもそれって人権侵害だよ!?立派な犯罪だよ!?」
黄「ぅん、悔しいっ」
柩「ホントにそう思ってる??」
黄「思ってる思ってる。で、俺たちも瑠樺さんたちを赤ちゃんにしちゃうんでしょ??いつやるの??」
ゾジーは、明らかに、復讐意識よりも瑠樺さんの幼児化への好奇心の方が強いみたいだ。
まぁ、結果的には同じだから、問題はないのだが、少し気に食わない。
柩「とりあえず、その天使の何とかは、ゾジーが瑠樺さんの部屋から盗み出してくれたし、新弥が読んだっていう、その薬に関する資料は、俺が咲人のカバンの中から発見したし、これで準備は整ったわけだけど、でもいつやるかってのは、かなり慎重に決めなきゃいけないと思うのね。」
黄「と、いいますと??」
柩「その資料によると、薬の効果は24時間。俺らが記憶をなくしてた時間も、だいたいそのくらいだから、これはもう確実な情報じゃん??」
新「つまり、次の日がオフだとか、そぉゆぅ日も選ばないといけねぇってことだなっ」
柩「違ぁーう!!バカじゃないの!?俺らは思いっきり仕事の日にかぶせられたんだよ!!」
新「いや、でもそれはわざとじゃないって聞い…」
柩「自分が知らない間に雑誌の撮影が終わってて、知らない間に撮られた写真を、知らない間に載せられて、まったく身に覚えのない自分の写真が載った雑誌が店に並べられてんだよ!!それを見た時の俺の気持ち、新弥に分かる??」
新「あ、そぉだな…悪かった…」
黄「確かにあれは不思議だったよねぇー。でも俺、意外とカッコ良く写ってなかった??やっぱ変に気合い入れない方がいぃのかな…」
新「そぅかもな。で、何??柩は咲人たちにも同じ思いをさせてやりたいわけ??」
柩「まったく同じってのはさすがに無理あるよ。近々撮影の仕事がないわけじゃないけど、インタビューとセットだったり、ライブの打ち合わせとか、別の仕事と同じ日だったり、色々あるからね…」
黄「じゃあどぉすんの??」
柩「俺なりに考えたんだけどさ、レコーディングの日とかどぉ??」
新「え、でもそぉゆぅ状態で楽器出来るとは思えねんだけどっ」
柩「だーかーらー、咲人と瑠樺さんに先に録り終えてもらうわけ。で、2人のレックが終わった所で飲ませる!!」
黄「うわー!!それいぃー!!」
柩「でしょ??」
新「うーん、まぁオマエが一生懸命考えたのは分かるけどさぁ…やっぱ仕事中にそぉゆぅのは…ホラ、スタッフさんにも迷惑かかるだろ??」
柩「撮影の時に比べたら、どーってことないよ。音はちゃんと録れてるわけだしっ…それにね、俺こないだショックスのスタッフさんに会って何て言われたと思う??『こないだ大事に抱えてたうさたんは元気ですかぁー??』って。別の人には『柩さん、こないだのあめ玉のお返しにコレあげます』って、プリキュアのシール渡されたんだよ!!屈辱だよ!!分かる??」
黄「あ、俺もこないだ、カメラマンさんに会って『黄泉くん、オムツ外れて良かったね』って言われた!!」
新「うわ、それヒドぃ…」
柩「とにかく、俺らは他人の前でも醜態を晒されて、さんざん奇異な目で見られて、プライドズタズタに踏みにじられたのに、咲人と瑠樺さんが、例えどんな恥ずかしいことになろうと、それを知ってるのが俺とかゾジーさんだけじゃ、全然復讐になんなぃじゃん!?全然そんなの、3割くらぃの仕返しにしかなんなぃじゃん!?」
新「まぁ、確かにな…」
黄「楽しみだなぁー、瑠樺さんどんな風になるんだろぅなぁ♪」
新「でもさ、オマエらちょっと、あの薬を甘くみてねぇか??」
柩「何それ、どうゆぅこと??」
新「いや、俺はあの日の瑠樺さんと咲人の疲れきった顔も見てるし、多少話も聞いてるし、ちょっとの間オマエら2人の世話もさせられたから分かるけど、ぶっちゃけ、親戚の子供預かったりする程度の苦労じゃ済まないぞ??小さい子供の世話すんのも大変なのに、相手はデッカイ子供なんだぞ??オマエらじゃ、あの2人を抱き抱えたりとかできねぇじゃん??」
黄「なるほどねっ…確かに瑠樺さん抱っこしたりおんぶしたりはできないな、俺…」
柩「でも、カノンくんなんか、中1だったんでしょ??他に試した人たちもみんな、俺たちより全然年上だったんでしょ??俺たちがたまたま小さくなりすぎちゃっただけだよ、きっと。小学生とか幼稚園児くらいなら、余裕だよっ」
新「でもゾジーみたいに0歳児にならない保証はどこにもねぇじゃねぇかよ。それにさ、仮に2人が小学生くらいになったとしても、可愛らしい子供って感じじゃないと思うんだよなー、生意気なクソガキになったらどぉすんだよ??別の意味で苦労するぞ??」
黄「アハハ!!瑠樺さん生意気なクソガキになりそー!!」
柩「そんなことなぃっ!!アレは元々、ロリコンの男が、自分の彼女とかに使って、プレイを楽しむためのアダルト商品であって、『天使の』って付いてるだけあって、誰でも可愛くなるように作られてるから、実際の本人の子供時代とはまったく関係ありませんって、資料に書いてあったもんっ!!」
新「あ、そぅ…でも『可愛い子供』になった瑠樺さんと咲人なんか、余計に見たくねぇな、俺…」
柩「もぅ!!何なの新弥は!!そんなに文句ばっか言ってると新弥にも一服盛るよ!!」
新「いやいや!!バカ言うな!!俺はオマエらに的確なアドバイスをだな…」
柩「じゃ、そぉゆぅことで!!決行は1週間後のレコーディングね!!」
黄「イエッサァー!!」
柩「新弥も返事!!」
新「い、いえっさー」
そんなこんなで、完全におもしろ半分のゾジーと、まったく乗り気じゃない新弥と共に、俺は復讐の計画と日程を決めた。
新弥が言うように、この「天使のロリータミルク」の効果が、甘っちょろいもんじゃないことは分かってる。
もしかしたら、大変な苦労を強いられることになるかもしれないという覚悟もしている。
それでも俺は、咲人がどんな風になろうと、ちゃんと愛せる自信があった。