V小説。
□所詮あたいは君のモノ。
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「先輩、慰めてくださぃっ」
「ちょっオマエ、何だよ急にっ!!」
「だぁから、慰めてくださぃっ」
「…はぁ??」
深夜1時。
「今から行っていぃすか??」というmayaからの電話があった5分後には、もぅ玄関のチャイムが鳴って、ショボくれた顔したコイツが立っていた。
電話でも、俺は一言も「いいよ」と言ったつもりはないのだが、俺に電話をかけた時点で、もうハナから押し掛ける気まんまんで、すでに近くまで来てるというパターンは、もうこれで何度目か分からない。
「せんぱーぃっ!!」
「おわっ!!何だよっ!!離れろっ!!寄るなっ!!殺すぞっ!!」
mayaは、扉を閉めるや否や、靴を脱ぎ捨て、玄関先でいきなり俺の首に両腕を回してきた。
俺はそれを無理矢理にかわす。
「またぁ、すぐ殺すとか言うーっ!!…あ、お邪魔していぃすか??」
mayaがそう言いながら、勝手に奥の部屋へと向かい、勝手にソファに腰かけた。
「上がりこんでから言うなよ!!てか、当たり前のように俺の特等席に座るなよ!!」
「いいじゃん。俺お客様だし??傷心中だし??」
「関係ねぇよ、俺んちだっつの!!」
「あ、先輩、俺コーヒーでっ!!」
「オッマエはっ…!!」
相変わらず我侭放題なmayaに対して、そんな風に一応悪態をついてはみるものの、
結局しっかりコーヒーを淹れてやって、特等席も譲ってやってる自分が情けない。
なんだかんだ、いつもコイツには勝てない。
それはもう、十分すぎるくらい、身に染みている。
「で、何??またフられたの??」
ソファをmayaに取られたので、俺はベッドに腰かけて聞いた。
どうせまた女の話だろうということは、声でも表情でも、分かりやすすぎてすぐ分かる。
「俺、そぉゆう対象じゃないんだって。デートはしてくれたくせに、楽しそうにしてたくせに、抱かれるのは嫌なんだって。意味分かんねぇと思いません??」
「ぅんまぁ…分かんなくもなぃ気もするけど…」
「それってつまりは、友達じゃん??恋人気取りだったの、俺だけじゃん??バッカみたいじゃん、俺っ」
「ハハッ、そりゃ残念だったなっ。今回どんくらい??」
「5日っ」
「うわ、新記録出たねぇ!!お気の毒様っ」
俺は、そう言って笑いながら、マグカップのコーヒーに口を付けた。
こんなようなやりとりも、もう何度目か分からない。
「ねぇっ」
「ん??」
すると、mayaがソファから立ち上がり、マジメくさった顔で俺の肩を掴み、至近距離で俺の顔をジッと覗き込んできた。
「ちょっ!!近い近い!!何だよ!!」
「俺、やっぱり先輩がいぃかも…」
「…っ!!…ぃや待て、聞くから!!話は聞くから一旦離れろっ!!」
「嫌だ。」
mayaはそぅ言うと、俺の顔を両手で挟み込む。
「だってなんつーか、俺の中で、ホント理想なんですよねぇ…目も、口も、鼻も、サラサラの髪の毛も…」
「やめっ!!ベタベタ触んなっ!!」
「そぉゆぅこと言いながら赤くなっちゃうツンデレなとこも…」
「なっ…!!」
「先輩は、俺の理想の女の子すぎるんだよなぁ…なんで男の子なんですか??まぁ、男の子って歳でもなぃですけどっ」
「知らねぇよ!!悪かったなオッサンでっ」
「ルックスだけなら、どんな女の子より、美人さんなのにね…」
「どぉでもいいから離れろって!!いつまで人の顔ガン見してんだよ!!殺すぞ!!」
俺は、そう言ってmayaを突き放した。
コイツに、こんな風に愛の告白をされるのもまた、これが初めてじゃない。
理想の女の子云々のくだりも、今に始まったことじゃない。
だが、すんなりと受け入れられることじゃない。
「俺の用件、忘れたんですか??」
「は??用件??」
「俺、先輩に慰めて欲しくて来たんだけどなぁ」
mayaが、そう言って、俺の体に、跨がるようにしてしがみついて来た。
勢い余って、俺はベッドに仰向けに倒れこむ。
「ちょっバカ!!何なんだよオマエは!!」
「欲求不満なんです。慰めてください。先輩俺のこと可愛くなぃんですか??」
「可愛くはなぃけど、オマエよくそんなこと言えんなっ、女の匂いプンプンさせといて…」
「あ、ヤキモチ??言っとくけど、女の子とヤれなかったから先輩とヤりたいんじゃないですよ??先輩がそぉやって俺のこと拒絶するから、女の子のとこに行ったんですよ??」
「…あ、そぅ」
mayaの言葉は、正直わりとグサリと刺さった。
確かに俺は、mayaをの想いを受け入れることを拒んでる。
というか、怖がってる。
愛されて、いつか捨てられるくらいなら、初めから愛されたくなんかない。
コイツは俺と違ってまだ若いし、いつかは絶対、女の子と結婚するんだろうし、そしたら自然と俺からも離れてくに決まってる。
可愛いか可愛くないかと聞かれたら、
ぶっちゃけ俺は、コイツのことが可愛くてたまらない。
コイツが俺を求めてくれるなら、いくらでも抱かれたいと思ってしまうのも事実。
だが、なつかれて、嬉しくて、舞い上がって、それで俺だけバカをみるのはゴメンだ。
「あぃじ先輩っww」
「ちょっ!!おぃ!!」
mayaが、俺の体をひょいと軽々ベッドの真ん中辺りまで移動させる。
そして、わざとお互いの敏感な部分が、布越しに触れ合う位置に、跨がってくる。
やばぃ、バレる…
そぅ思った瞬間には、もうmayaは、気持ち悪いくらいにニヤニヤと笑って俺を見下ろしていた。
「キスしていぃすか??」
「やだっ」
「なんで??余計に感じちゃうから??」
「バカちげっ…んっ」
俺の苦しい抵抗の言葉は、mayaの唇によって遮られた。
俺が嫌だと言ったって、どうせ最初からするつもりなんだから、
だったらいちいち、聞かなきゃいいのにと、切実に思う。
まぁ、それがコイツの可愛い所でもあるわけだが。
「んっ…んんっ…んはぁっ…」
mayaの舌で、口の中を隅々まで犯されて、
熱い息と共に、エロっちく舌を絡められて、
チュッ、クチュッと、音を立てながら唇に吸い付かれながら、
今日会ってきた女の子とも、キスくらいはしたんだろぅなぁと、情けない嫉妬に駆られる。
それでも、下半身の触れ合っている部分は、時々ピクピクと震えて、悔しいくらい、mayaに快感を教えてる。
「んっ…はぁっ………あっ!!」
長いキスの後で、mayaが上体を起こした瞬間、触れ合った部分が擦れて、思わず声が出た。
「フフッ…」
「笑ってんじゃねぇよっ…」
「だって、先輩、可愛いっww」
「うるせぇ!!」
「やっぱ俺、先輩の唇が1番好き。ってゆうか、先輩のことが1番好きっ」
ダメだと思いながらも、mayaのそんな言葉に、喜んでる俺がいる。
それは、なかなか親離れをしない息子に、いつまでも甘えられてしまう、母親の心境に似ているのかもしれない。
だが、コイツだって、もう子供じゃない。
そろそろ、突き放さなくちゃいけない時期な気がする。
そうしなければ、俺はコイツの将来を壊してしまう。
頭ではしっかりと分かっているハズなのに、こんな風に、まっすぐな愛を投げつけられると、やはり受け止めずにいられない。
「先輩の、すごく硬くなってますけど??」
「…///」
「俺のキス、感じた??」
自信満々な顔で聞いてくるコイツが、少し可愛くて、すげぇムカつく。
「答えてくださぃよっ、俺のキスで感じちゃったんでしょ??硬いの、めっちゃ当たってるんですけど??」
「…分かりきってること、聞くなよバカっ」
「フフフッ…なんで先輩はそんなに可愛いんですか、もぅっ!!」
そう言いながら、mayaは嬉しそうに笑って、俺の腹に手を置き、軽く腰を動かしてきた。
「んあっ…はっ…」
mayaのジーパンと、俺のジャージを介して、もどかしい刺激が、下半身に走る。
「やばぃ…先輩の可愛い顔、もっと見たくなってきた…」
「…もぅ、いちいち変なこと聞くなよ!?」
「はぃ??どぉゆぅ意味っすか??」
「だからっ!!…ぃや、何でもないっ…」
「えっちしてもいぃですかとか、聞くなってこと??」
「………///」
「聞いて欲しくなぃってことは、シて欲しいんだ、先輩っ」
「……ちがっ」
「違くなぃでしょおー??ちゃんと、俺に愛されてくれます??」
「…も、好きにしろっ」
「俺今日、男の子の日ですけど、大丈夫っすか??」
「はぁ!?何だよソレ…」
「発情期ってことですっ」
「んな、オマエは万年発情期だろがっ!!」
「いや、今日はマジでヤバィ…マジで、先輩のこと壊しちゃうかもしんなぃ…」
「もぅ、何でもいいから早く…」
そこまで言って、俺は急に恥ずかしくなって言葉を切った。
何をおねだりとかしちゃってんだ、自分…
だが、mayaがなんだかんだとくだらないことを言ってる間にも、
重なった部分が微妙に擦れて、俺のソコは、もどかしい快感に悲鳴をあげてる。
「あ、先輩、我慢できなくなっちゃいました??」
「っ!!オマエはっ…!!」
「フフwwじゃあ、いっただっきまぁす♪」
「んっ…はぁっ…!!」
mayaが、俺の首筋に舌を這わせながら、ジャージの中に、手を滑り込ませた。
カチャリと、コイツの中に潜む獣のスイッチが入った音が、聞こえた気がした。