V小説。

□新弥くんの恋人(第4話)
1ページ/5ページ

瑠「うーわっ!!ちょっ、見ろよコレ!!」

柩「え??何々??『那月、ハタチの誕生日』あはっ!!ウケる!!俺らのライブの日程よりもデカデカと書いてんじゃん!!」

瑠「しかもここ、よく見ると小せぇハートマーク付いてんのっ」

柩「嘘ぉ!!うわホントだ!!普通に気持ち悪ぃ!!」

瑠「那月、成人式ってのもあるぜ??新弥が出るわけでもねぇのにっ」

柩「あははは!!保護者かっ!!」

瑠「おぃここ、那月渋谷8時って書いてあるけど、この日俺新弥と取材なんだけど!!忘れてんじゃねぇのアイツ!!」

柩「マジかぁ!!あーあ、アホだぁっ」

「ただいまー…って!!ちょっ!!オマエら何勝手に見てんだよ!!」

俺がコンビニの袋を下げて楽屋に戻ると、

瑠樺さんと柩が、俺の手帳を眺めていた。

この日は、ツアーのとある地方公演の日。

ちなみに、ゾジーと咲人は、ラジオ局にプロモーションに出掛けている。

廊下を歩いていて、2人してやけに楽しそうに笑ってんなぁと思ったら、どぉやらネタは俺だったらしい。

新「ちょっ!!返せってマジ!!」

瑠「まぁまぁまぁ、いぃじゃねぇかよ」

新「よかねぇよ!!プライバシーだっつの!!」

柩「若い彼氏とラブラブでいぃですねぇ新弥さんっ」

瑠「ホント、羨ましい限り。自分まで若返った気分でしょうね…」

新「っ///違ぇんだって!!それは那月にせがまれてっ…俺は嫌だっつったのに記念だとか思い出だとか言うから仕方なく1回だけ付き合ってやっただけで…」

瑠「は??」

柩「何の話??」

新「え…だから手帳の裏の…」

柩「瑠樺さん裏だって!!裏に何かあるらしいよっ!!」

瑠「あっはぁ…!!あらまぁ…プリクラってやつですかコレ新弥さんっ」

新「あー!!見てねぇなら見るな!!」

柩「うわうわうわ!!えぇー!!あははは!!顔っ!!この顔っ!!」

瑠「俺の女ですが何か??って顔だなっ…雑誌なら確実にNGだぞ、この顔っ」

柩「めちゃくちゃドヤ顔っ!!ひゃはは!!」

瑠「しかも逆ピースだぞ??顔の横で逆ピース!!」

柩「全然嫌々じゃねぇじゃんノリノリじゃん!!あはは!!マジウケる!!腹痛ぇ!!」

新「おぃ!!笑いすぎだろバカ!!んな可笑しくねぇよ!!てか早く返せ!!」

瑠「ぃや、可笑しいだろ!!そもそも新弥が彼氏とのプリクラを手帳に貼ってる時点でだぃぶウケるぞ??」

柩「だよねぇ!!あー咲人とゾジにも見せてやりてぇー」

新「黙れ!!」

俺は、瑠樺さんから無理矢理手帳を奪い返し、カバンにしまった。

まったく、油断も隙もない。

ゾジーが居なかったのが不幸中の幸いだが、

それでも、十分な恥ずかしめを受けたことには変わりない。

柩「あー笑った。にしても、デートでプリクラって発想がやっぱり若いよねぇ…」

瑠「だってまだハタチ前だろ??新弥と10個近く離れてるわけだろ??」

柩「きゃあ恐ろしい!!まさか新弥が大学生の男の子と付き合ってるなんて、誰も想像しないだろぅね…」

瑠「だなっ」

瑠樺さんと柩は、しみじみといった感じで語る。

まぁ、俺だって未だに不思議なんだから、周りが不思議がるのも無理はないかもしれないが。

柩「そいえば、那月くんの誕生日、もぅすぐらしぃね??なんか考えてんの??」

瑠「そりゃ、記念すべきハタチの誕生日となりゃ、盛大な計画立ててるだろっ」

新「あぁ、まぁ…」

柩「何々??何すんの??」

瑠「リボンで飾った僕をプレゼント??」

柩「あは!!気持ち悪いとか言われちゃうかもね、それっ」

新「ばっ!!んなわけねぇだろ!!」

瑠「じゃあ何だよ??新弥のためなら、協力は惜しまねぇよ、俺ら。なぁ??」

柩「うんっ!!協力するする!!」

新「ぃや、その日と翌日、ちょうどオフだからさ、温泉にでも連れてってやるかなって思って予約してあんだよ。だから別に、協力とか要らねぇからっ」

柩「ふぅん。温泉かぁ…いぃなぁ…」

瑠「温泉ねぇ…なるほどっ」

2人は、そう言って意味深に視線を交わした。

そして、ニヤリと一瞬笑ったような気がした。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ