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ふと、何も考えずに見た視線の先にいたのは

フワフワとした栗色の髪の彼女


『題名』


「‥あれは」

夕食も食べ終わって、そろそろ寮の私室に戻ろうかと考えながら

ただ行くあても無く歩いていたら

丁度、庭のほうにまるで猫か何かのように

木と木の間に素早く入って行く影が視界に入った

気づいて見たときに、一瞬だけ見えたあの栗色は

自分が良く罵り、蔑む敵対した寮の生徒で

なんだか、良くはわからないが

好奇心に誘われてその影に着いていった

木と木の間を通って行った先には、先ほど見た影は居なくて

ただ、一つの芸術のように月明かりに照らされて佇む木しかなかった

良くある光景だし、昼間なら幾度となく見ている場所なのに

夜に見るのは、昼間に見るのとはまるで別世界で

思わず感嘆の溜め息が口をついて出そうだった

暫くその風景に見とれていたが、そういえば人を追ってきたんだと言うことを思い出して

辺りに視線を配ったのだが、追ってきた奴は居ない

(確かにコッチに来たと思ったんだけどな、)

どこに行ったのか、追ってきた人物どころか生き物気配すらしない

綺麗なのに、どこか物悲しい

「‥此処には居ないのか、」

周りに注意をはらっても人が居るような気配はない

「もう少し、奥に行ってみるか」

人が居ないと決めつけたら、次は奥に行こうと、足を踏み出した
 

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