novel

□偽りと真実
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学校に通い出した理由は楽しそうだから!というのが大半だ。けど、ルルーシュ君を拝見してみたい気持ちがあったのは事実だ。スザクの心を占めいているのはどんな人物なのか確かめてみたかった。

ふと、この間生徒会の人たちと撮った写真を取り出した。当然のごとく俺はスザクの隣に写っている。楽しそうな写真。でもスザクがこの写真を見たとき少し表情が曇ったのを見逃さなかった。

「ルルーシュ・ランペルージ」

彼はスザクから離れた位置に写っていた。なんでだ。スザクの口振りや態度から相当親しい間柄だと思っていたのだが、実際学校に行ったら拍子抜けするほどいたって普通の友達同士だった。というか俺の方がよっぽどスザクとの仲が良いと言っていい。リヴァルやミレイに尋ねても、これといった情報もなくただの生徒会仲間らしい。
スザクの片想いだったのか?そんなはずはない。あんなにスザクが執着しているのだ。片想いだったにせよ、絶対2人には何かある。俺の勘がそう言っているのだから間違いない。

うーん?と背もたれに寄りかかったときに目の前に見える扉が開いた。

「ジノ」

アーニャが姿を現した。ここは学園の生徒会室だが、アーニャもよく此処を訪れる。

「アーニャと、ルルーシュ先輩」
「ああジノ。あれ?他の皆はいないのか」

アーニャの後ろから一緒にルルーシュ君が入ってきた。どうやらアーニャはルルーシュ君がお気に入りみたいだ。

「ん?」

俺はルルーシュ君を凝視していたらしい。彼は不思議そうに首を傾げた。
確かに美人だ。艶のある黒髪に、皇族とさえ思わせるアメジストの瞳。でもその腰はさすがに細すぎる。

「ジノ見過ぎ」
「え?」
「俺に何か用か?」

気付くとルルーシュ君は困ったように微笑んでいた。また見つめてしまった。
でもなんだろう。綺麗だけど全てが作り物みたいだ。表情、仕草、話し方、全部違和感がある。ルルーシュ君のことなんか全然知らないが、一応人を見る目は備わっているつもりだ。

「そうだ。スザクは元気か?」

どきりとした。ルルーシュ君の口からスザクの名が出るだけで、何ともいえない気持ちが心を掠める。

「スザクなら任務があるから忙しそうだけど、本人は元気そうだぜ」
「スザクは真面目だから、無理しないよう言っておいてくれ」
「そん時はむりやり休ませるからさ」
「そうか。スザクとは随分仲良さそうだったもんな」

ルルーシュ君はそう言って笑うと、昨日頼まれていた業務を始めていた。スザクに対する興味はさほどないとでもいいたげた。いや、俺が勝手に思い込んでるだけだけど。けど!なんか狡い。俺はスザクのこと好きで、スザクもそう言ってくれてはいるが、本当にスザクの心を占めているのはルルーシュ君とゼロで!…ゼロ?ルルーシュとゼロ。

「んあー!!」

いきなり大声を発したらルルーシュ君の肩がびくっと上がった。2人の怪訝そうな視線を感じる。でもそんなことは気にしてられない。

先客が2人もいたら俺がスザクに入り込む余地は残されているのか?

「アーニャ!先に帰るなっ」
「ん…」




制服のままスザクの自室まで早足で歩く。さっきそこいらにいた人に確認したからいるはずだ。ノックもせずに扉を開けた。後で怒られるだろうが、今はそれよりも聞きたいことがある。

「ジノっ?また無断で」

びっくりしたようにスザクが立ち上がった。それを見ながら早足で机を回り込んでスザクの肩を掴んだ。

「何割なんだっ」
「は?」
「ちゃんとスザクの心に住んでるか?」

必死な形相に、スザクはきょとんとしている。大きい目が可愛い。なんて考えてる余裕は少ししかない。

「ジノ」
「っ!」

スザクから、抱きしめられた?首に回された腕はスザクのだよな。スザクからこんなことをするのは珍しい。

「僕はジノにたくさん救われてるんだ」
「スザク」
「僕の心にずかずか入ってきたのは、どこのどいつだよ。ジノが居ないわけないだろ」

スザクは笑っているのか耳にかかる息がくすぐったい。スザクを抱きしめ返すと、また甘えるように顔を寄せてきた。

「これからもよろしくな、ジノ」
「離さないからな」
「望むところだよ」




あれ…それで何割なんだ?
ま、いっか。今スザクは腕の中にいて、笑ってくれてるんだから。


fin

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