novel
□嫉妬と疑惑
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「スーザク!」
「うわっ」
スザクが学校から帰って来ているときいて部屋に押し掛けると、スザクは慌てたように持っていたらしい紙をぶちまけた。
「お?」
「い、いや、なんでもない」
スザクは急いで椅子を下りると床にちらばった数枚の紙を集め、机に置いてあったファイルに無造作に突っ込んだ。そしてそれを庇うかのように、机の前に立ちはだかり俺を見た。
ああ、なるほど。またルルーシュ君か。
スザクが取り乱して且つ俺の目を見ずに言い訳をすれば、ほぼ間違いなくルルーシュ君絡みだということは既に学んでいる。
「ノックぐらいしろ」
「許せよ。俺とスザクの仲だろ」
「……」
でもちょっと癪にさわるよな。俺だっていつも引き下がってるばっかじゃ割に合わない。
よっしゃ。今日は少し虐めてみようか。それくらいは許せよな。
「今隠したの何?」
「ただの報告書だ」
「報告書?なんの」
「極秘資料だ。いくらジノでも教えるわけにはいかない」
ただの極秘資料、ね。本当に仕事ならあんな素っ頓狂な声を聞けるはずがない。
「嘘はつくもんじゃないな」
「なっ」
その瞬間にスザクが口を半開きに固まった。予想以上に早くボロが出た。つうか早すぎだ。カマもかけてないのに、なんか抜けすぎてて逆に心配になってきた。
それはさておきこんなシチュエーションを見逃す手はないだろう。
「やっぱり嘘ついたんだ。そういう奴にはお仕置きが必要だな」
「何を言って、というか嘘じゃないっ」
「はいはい」
「いっ!」
手首を強く掴んで持ち上げるとスザクは顔を歪めた。ラウンズ同士といえど体格差では圧倒的に俺のが有利。
「ジノっ、ふざけるな」
俺を睨みながら掴まれている左手は必死に抵抗しているようだが、まだまだ俺にはかなわない。
「んー別にふざけてはないぜ」
「放せっ、僕は本当に報告書のチェックを」
振り上げられたスザクの右手を受け止め、そのままスザクを机に押し倒した。その時さっきのファイルが衝撃でズレたが、スザクもハッとしたように横目でそれを確認をしていた。
そんなに大事なのかよ。
「俺を見ろよ」
「なら僕から離れてくれ」
「それはできない相談だ」
「んっ!」
有無を言わせず口を口で塞いでもスザクは足をばたつかせて抵抗をみせている。それはそれで傷つくんですけど。
「ん…んんっ、あ!」
スザクの腕を頭上でまとめて布の上からスザクのを包みこむと、スザクは一瞬だけ全身の力が抜けた。
「スザクがエリア11に来てからヤってないもんな。溜まってたりして」
「仕事がまだっ」
まだ言うか。今目の前にいるのは俺だっつうの!そんな紙切れのルルーシュ君ばっか気にしてんじゃねえよ。
「!!んぁっ…ふっ…」
強引に舌をねじ込ませると、口内でも嫌だ嫌だと言わんばかりにスザクは逃げていた。涙を含んだスザクの瞳は見開かれ俺を睨んでいる。それでも舌を絡ませ、息もさせないくらいのキスをしていると、だんだんとスザクの力が抜けていく。そのまま貪るようにキスを続けた。
「ふぁっ…あっ……」
舌を絡ませ、角度を変えて、より深く、スザクをここにつなぎ止めようと必死になっているみたいだ。
「…んぁっ…ジノ…」
「スザク」
「うっ、ん…?」
顔を離してスザクを見下ろすと、泣きそうな顔が目に映った。俺は急に罪悪感が生まれてきた。掴んでいたスザクの手首が赤くなっていた。
「ごめん」
「いや、別に」
スザクが起きあがろうとしたので、俺は一歩下がった。
「そんなシュンとした顔するなよ。僕が悪いみたいだろ」
「え」
俺はそんなにひどい顔をしているのか?スザクが苦笑いを浮かべている。
「でも僕が悪いのかな。確かにゼロが現れてから、ずっとゼロのことばかり考えていて」
「スザク…」
「その、だからジノのこと気づかない内に傷つけていたなら謝る。ごめん」
スザクはまるで叱られた犬みたいになっていた。しょぼんと耳が垂れているのが見える気がする。
「す…スッザクー!」
「なっ、何!?」
がばっとスザクに抱きつくと、スザクは驚きながらも抱き止めてくれた。
「俺スザクのこと大好きなんだ」
「うん。ありがとう」
「だから」
「だから?」
「コレどうにかして?」
は?とスザクが腕の中で固まった。だってあんな顔のスザク見て、俺が反応しないわけがない。それに最近ご無沙汰なのは本当で、溜まっているのは俺の方だったりする。
だいたい今日はスザクを虐めるって決めたんだ。
「ちょ、固いものがあたってるんだけど」
「うん。ちゃんと咥えろよ?これまで俺をほっといた罰だからな」
瞬間、スザクが全力で俺を引き剥がそうとしたがもう遅い。
「ぐっ」
スザクの顔がまた歪む。でもま、たまには厳しくしないとな。俺だって譲ってばかりの優しい男じゃないんだぜ?
ところでスザク。抱きついた衝撃で床に落ちたファイルに気づいてるか?そこから資料がはみ出て少し文字が見えるんだけど「観察日記」って、まさかだよな?
fin?
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