リボーンの部屋

□受けの苦労、攻め知らず
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テキストの、問題と問題の合間につめつめでぎっしりと書いてある文。

この、きれいに整った字は、文の最後に書いてあったように骸のもので間違いない。


「こ、これは……」
「骸からの手紙。あいつ、よく人の部屋に勝手に入ってくるんだ」


ツナがまた、力なくほほ笑んだ。


「あのアホ、十代目にそんなことを?許せねえ……」
「そんな怒らなくていいよ。いつものことだし」


キレる獄寺をなだめて、ツナはオレンジジュースを一口飲んだ。


「でも、しっかりと言わないとこれからも続きますよ!」
「……骸が言ったことを忠実に守ると思う?」
「そ、れは……」


獄寺は言葉を濁した。

骸が、言われたことをしっかり守る奴だとは、全く思っていない。

むしろ、約束をするとそれをわざわざ破って楽しむ奴だ。


「大変、ですね……」
「うん」


ツナはまた、オレンジジュースをすすった。

獄寺もオレンジジュースを飲む。


「でもさ、獄寺くんは獄寺くんで大変だよね」
「へ?」
「山本」
「ああ……そうっすね……」


今度は、獄寺がポツリポツリと語りだした。


「あいつ、やたらと触ってくるんすよ。髪の毛とか手とかを」
「うん」
「で、前に止めろって言ったんです。そしたら、なんて言ったと思います?」


さあ。とツナは答えた。

正直、大体予想はつく。何たって山本は分かりやすいから。

でも、とりあえず解らないふりをして獄寺の言葉を待った。


「そしたら、そしたらあいつは……。『獄寺と俺は、恋人同士だからいいじゃないか』って」


やっぱり。とツナは心の中でつぶやいた。

山本は、男同士とか気にしないし。何より獄寺くんのこと大好きだし。とツナはまた心の中でつぶやく。


「それで俺は、『そーゆー問題じゃねえ!』って言ったんです。そしたら山本は……」


山本は……。ともう一度言う。

獄寺の表情がどんどん暗くなっていく。


「『じゃあどーゆー問題なんだ?』って。『もしかして、俺以外に本命がいて、そいつに勘違いされたくないから拒むのか?』と言って、それで……」


獄寺が最後まで言い終わらないうちに悟ったツナは、辛いならそれ以上いいよ、と言った。


「ありがとうございます……」
「獄寺くんも、大変だね」
「はい……」
「「はぁ……」」


そして、二人で溜息を吐いた。







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