リボーンの部屋

□花火
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山本は獄寺に嫌われている。

それは決して本人に直接言われたわけではなく、山本が勝手にそう考えていることなのだが、
獄寺の態度を見れば一目瞭然だ。

いくら、普段から鈍い鈍いと周りから言われている山本だって流石に分かった。



山本は、はっきり言って人に好かれるタイプの人間だ。

だから、“なにもしていないのに嫌われる”なんてことは初めてだった。

別になにをしたわけでもないのに、初対面のときから向けられた、明らかな嫌悪の視線。

そんな視線を浴びながら、山本は凄く困っていた。どうしたらいいのか分からなかった。



――――山本は獄寺と仲良くなりたいと思っていたのだった。



獄寺が教室に入ってきて教卓の隣に立ったとき、山本は正直、驚いた。


(外国人だ・・・・・・)


転校生の髪は、日本人離れした銀色をしていた。

生まれてこのかた国外に出たことのない、生粋の日本人である山本は、外国人をあまり見たことがない。

そのせいで、外国人といえば金髪なんていうイメージのあった山本にとって転校生の髪は、凄く珍しいものだった。


(綺麗なのな・・・・・・)



窓からの降り注ぐ初夏の日の光を受けてきらきらと輝いている転校生、もとい獄寺隼人の髪を
ぼーっと眺めながら、山本はそんなことを思った。



そして、山本はツナを通して獄寺と知り合いになった。

一緒にいるようになって、山本の獄寺に対するイメージは変わっていった。


(獄寺って、面白いやつなのな)


獄寺は帰国子女だからか、少し変わっていた。

転校の次の日。

初日に突然喧嘩を吹っ掛けていたツナに対しての態度が、まるで掌を返すようにして変わった。

それ以来、ツナに対して獄寺は絶対服従している。

他の奴等に対する態度とは、雲泥の差だ。



他にも、
理由は知らないが花火をいつも持ち歩いていたり、
不真面目そうなのに頭がめちゃくちゃ良かったり、
休みの日に公園で暇を潰していたり、
お姉さんと仲が悪かったり、
マフィアごっこが凄く好きだったり、
実は以外と照れ屋だったり。

いろんな一面を知っていった。

そんなふうに獄寺に触れていくにつれて、山本はもっともっと獄寺について知りたいと思った。

そして、同時にもっともっと自分について獄寺に知って欲しいと思った。

つまり、もっともっと獄寺と仲良くなりたいと思っていたのだった。



――――しかし、山本は獄寺に嫌われている。



山本は、途方に暮れていた。





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