リボーンの部屋
□攻めの苦労、受け知らず
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「おや?山本君じゃありませんか」
「骸……?」
ある日の放課後。
もうすぐある大会に向けて部活動が長引いたため、帰りが遅くなった山本と、暇だったので何となく散歩をしていた骸がバッタリ出会った。
「綱吉君達は一緒じゃないんですか?」
「部活で遅くなるから、先帰ってもらいました」
「そうですか」
そこまで言うと骸はしばらく黙り込んだ。
「……少しの間、話を聴いて頂けませんか?」
「?いいっすけど」
山本はいつも以上に真剣な骸に少し戸惑いながらもOKした。
*・*・*・*・*
「はいこれ」
「ん?あ、サンキュ」
とりあえず2人は近くの公園に移動した。
そして、ベンチに座った。すると骸が近くの自動販売機でオレンジジュースを買って来てくれた。
山本はそれを礼を言って受け取り、封を開けて一口飲んだ。
その時、骸が話し出した。
「話というのは……その……、綱吉君の事なんです」
「ツナの事?」
骸は相変わらず神妙な顔をして、はい、と言った。
「最近、綱吉君がなんか変なんです」
「ツナが?」
山本は驚いて訊き返した。
そして、ここ最近のツナの様子を思い返してみた。
しかし、思い当たる節はない。
「そうっすか?別に普通ですけど……」
「じゃあ、あなた達の前だと普通なんでしょうね……。でも、僕の前だと、明らかにおかしいんです」
そして、この前……。と、骸が回想を始めた。
*・*・*・*・*
3日前の事です。
僕はいつものように窓から綱吉君の部屋に入っていきました。
すると嬉しいことに綱吉君は勉強をしていたんです。
なので僕は話しかけたんです。
「つっなよっしく〜ん♪」
「………」
「お勉強ですか?偉いですねえ。あ、そうそう。この前書いておいた、僕の愛のメッセージ読みましたか?」
「………」
「?」
この時に、僕は何となく異変に気付いたんです。
ツッコミが一発も無いという異変に……。
「綱吉君?どうかしたんですか?何か元気ありませんねえ」
「………」
「本当にどうしたんですか?今日の綱吉君、何かへ……」
「五月蠅い」
「え?」
「だから、五月蠅いって言ったんだよ。今俺は勉強やってんだから、もっと気を使ってよ」
「つ、綱吉く……?」
「あー。獄寺くんの方が、やっぱり気がきくなぁ。骸と別れて、獄寺くんと付き合おうかな」
「?!」
*・*・*・*・*
「……ここまで言うと、綱吉君はまた勉強を始めたんです」
「つ、ツナが獄寺と?!」
「嘘か本当か分んなかったんであなたに訊きに来たんです」
そこまで言うと、骸は小さく溜息を吐き、オレンジジュースを飲んだ。
「そしたら、2人で帰ったと言ったので……。もしかしてあなた、獄寺隼人と別れましたか?」
「んな訳ないっすよ」
山本は、骸の質問に間髪入れずに答えた。
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