リボーンの部屋
□夏休み
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「暑ぃ……」
Tシャツの首元をパタパタさせながら、獄寺が呟いた。
今は、9月の真ん中のあたりだ。
なのに、気温は夏じゃないかってぐらい暑い。
暦の上では秋なのに、太陽は容赦無く照り付けている。
これも、地球温暖化なのかなぁ。なんて思うと、来年にはどうなってるんだと思った。
「本当に。マジで暑いなぁ」
「あーもー!こんな時に限って扇風機は壊れてるしよー!!」
ぎゃーと叫びながら、獄寺は持っていたうちわを投げ出した。
手放されたうちわが、力無くクッションに着地したのを見届けてから、俺は座り込んでいる獄寺の横に移動した。
そして、抱きつこうと手を伸ばす。
でも、その手はすぐに獄寺に捕らえられた。
「待て。てめぇは今何しようとしてんだ?」
「何って。抱きつくに決まってるのな」
「アホかっ!こんなクソ暑い時にべたべたするか?フツー」
「だって。俺がしたいだもん」
「何が『だもん』だ!気持悪ぃ!お前がやりたくても俺が嫌なんだよ。アホっ!」
折角2人なんだから、俺としては獄寺にもっともっと触れたと思う。
でも、暑さのせいで獄寺がそれを許してくれない。
本気で、太陽を恨んだ。
「あ、」
突然、獄寺が声を上げた。
そして、ニヤッと悪戯っぽく笑って俺を見た。
「山本、そこのコンビニまで行って、アイス、買って来い」
「はぁ?!」
急な獄寺の一言に、思わず声を上げた。
アイスを買って来る?この暑い中でか?!
「何で俺が?!」
「買って来たら、ちゅーしてやる」
俺の反論に対して、即答で獄寺が言った。
ちゅー……?
獄寺が、俺に……?
思考が停止する。
「嫌なら、今日1日何も無しだけど?行ってくれたら俺からちゅー。+お前の好きにさせてやる」
どうする?ニヤニヤと、意地悪そうな笑みを浮かべて、獄寺が訊く。
獄寺はずるい。
そんなの、答えは決まってるのに。
外に出ると、嫌味なほどに眩しい太陽と、真っ白な入道雲が目に入った。
*終わり*
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