下忍

□Happy Valentine
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2月14日







明日は忌まわしきバレンタイン





何故忌まわしいかって?








それは…













【Happy Valentine】










―――‥am 9:00



目覚まし時計よりも早く目が覚めたのは久しぶりだってば…






ふとカレンダーに目やると嫌な数字が目に付いた





2月14日 バレンタインデー






毎年この日には俺の下に沢山のチョコレートが寄せられる



え?嬉しくないのかって?





俺に寄せられるチョコは差出人不明の毒入りチョコだけだってばよ




今だって忘れない


何も知らなかった俺はそのチョコを食べてしまったことがある



如何にもかわいらしいハート型の小さなチョコレート

なんの躊躇いもなく、ただ嬉しくて口にした


口にした瞬間、吐血や目眩、激しい頭痛に俺は倒れこんだ




苦しくて苦しくて…

誰かに助けを求めても声も出なくて……


助けにくる誰かもいなくて……




普通だったらあそこで死んでもおかしくない…否、死んでいなくちゃおかしかった


けど普通じゃない俺は生き延びた




もうあんな思いは御免だ












俺は玄関の扉を見ながらため息をついた






どうせこの扉の向こうには大量の毒入りチョコが置かれているのだから早めに燃やしてしまおう




足を玄関へと進めドアノブを回した



――カチャリ







「―――あれ?」




何も…ない…?


おかしいな…確かに今日はバレンタインのはず



いつもならここにあるんだけど…




まさか!

今年はもっと酷い俺への当てつけがあるんじゃ!!






「よぉ!」


ネガティブだった俺に声が突然舞い降りた


声の主を探し辺りを見回すと逆光と共に屋根の上にソイツを見つけた






「シカマル?」





俺が尋ねるとシカマルはめんどくさそうに屋根から降りてきた



「お前ってば俺ん家の屋根で何やってんだってばよ?」


「あぁ、雲眺めてたんだ。」


「だから何で俺ん家なんだってば?」



「そりゃー眺めがいいからに決まってるだろ?お前こそ、朝っぱらからそわそわして…何かあったのか?」


「えっ?!お、俺は別にな〜んにもしてないってばよ!!」



言えるワケねェってばよ…

毒入りチョコ探してたなんて…




「ふーん…。まぁどうでもいいけどよ、お前急いだがいいぜ?」


シカマルの言葉に八ッとなった俺は慌てて時計を見る




「ヤバいってばよーッ!!遅刻したらサクラちゃんに殺されるってば!!」



今日は9:30から演習場でみんなと修行する約束だったってばよ!


なのに時計は



am 9:20





マジでマジでヤバいってば!!


















am 9:25




「よし!ダッシュで行けばなんとか間に合うってばよ!!」


――ガチャリ




「うわっ!!シ、シカマル!?」



扉を開けるとシカマルが壁に背を預け腕組みして笑っていた




てか、絶対先に行ってると思ってたのに…




「何ぼーっとしてんだ…、早く行かねーとサクラにボコられるんだろ?」



「そ、そうだったってば!急ぐってばよ!」


またシカマルの言葉にこうしてる場合じゃないことを思い出さされ俺は全力で地面を蹴った




「めんどくせー奴。」




笑顔で愚痴るシカマルも俺の後を追った







    
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