お題
□恋に気付いた5題
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〔03:私を見て〕
「一護」
「あ? なんだよ、ルキア」
「……否、別に用はないのだが」
「はぁ?」
ただ名前を呼ぶ。
用はなくてもただ彼の名を繰り返す。
私は一体どうしたのだろうか?
それすらも分からぬままただ彼の名を呼び続ける。
「一護」
「……」
「一護」
「だから、何だっつーんだよ」
「私にもわからぬ」
「……はぁ? 何だよ、それ」
そう呟いて一護は大きな溜め息を吐く。
けれど私だって分からぬのだからどうしようもない。
――だけど。
「一護」
「……ルキア?」
呼ぶ度に私だけをその瞳に映してくれる。
私以外を見ないでくれる。
それがどうしようもなく嬉しいなんて、言えるわけないだろう……?
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