にょた部屋
□未来【2】
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ヒラヒラと桜の花びらが目の前を舞う。
―――西浦に入学して、3度目の春が来た。
グラウンドはたくさんの新入部員で賑わっていた。
ギリギリのメンバーで試合に出ていた頃が嘘のようだ。
今年で主将3年目となる花井が、新入部員の自己紹介を兼ねて、経験者のポジション、希望ポジションを聞き、慣れた口ぶりで進行を進めていく。阿部はその隣で記録係をしていた。
「今年も部員結構入ったな?」
休憩に入り、新入部員のデータのノートを見ていると、後ろからお茶を持った花井に嬉しそうに話しかけられる。
「野球じゃなくてもいいって言ってた奴が、3年間主将やってんだもんな。」
「…っ、それ言うなって。もういい加減忘れろ…」
そう言って恥ずかしそうに頭を抱えた。