小説
□何も言わなくていい
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「なぁ、織田。
今日って何の日か知ってる?」
7月12日。午前0時になり日付がちょうど変わった瞬間のことだった。
0時を過ぎたのでもう今日になるのだが、今日は土曜日。
もうあと数時間もすれば朝練が始まるわけなのだが。
授業がないので、部活も9時から始まる。
早起きに慣れているオレらにとってはいつもより少し楽なスケジュールだった。
練習試合などの多いこの時期は、確認と混乱を避けるため、ある程度の予定を教えてもらえた。
今日のことも学校で練習だということがわかっていたので、叶は織田の寮に外泊にきていた。
お互い野球漬けな毎日で、疲労も溜まるのだが、
実は恋仲な織田と叶は、少しでも時間があればどちらからともなく2人の時間をつくった。
「今度の金曜の夜泊まりに行くから。」
今日のことは叶が織田を誘った。
織田が叶の家に行くこともあれば、今日のように叶が寮に泊まりにくることもあった。
最も、勉強という口実なのだが、
実際はゲームしたり、雑誌を読んだり、人には言えないようなことをしたり…
まぁ、最後のが一番多かったりする。
今日は、叶が弟からパチってきたという新作のゲームを日付が変わるまで夢中でやってたわけだ。
そして…
「なぁ、織田。今日って何の日か知ってる?」
冒頭の質問に至る。