小説

□お勉強
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「準サン、これ教え…」
「あほっ」

言い終わらないうちに言ってやる。

「これさっき似たようなのやっただろ。応用力ってものがねぇのかよアホ!天パ!!」
「うっ、準サンひどいっ!!」

「ひどいのはお前だろ。さっきから同じこと何回も言わせやがって。オレだって自分の勉強あんだからな、ちょっとは自分で考えろ」

普段からこのくらい言ってる。
だってわかんないんだもん!くらい返してくると思ってたのに―――。

「ぅん・・・。ごめんね準サン」
そう罵ってから小1時間―――。
自分の課題に一区切りがついて隣の利央に目をやる。

珍しくおとなしい。
普段使わない頭を使ってるせいか眉間に皺を寄せている。

ちらっとノートを見やるが、解けた様子はない。
ペンを持て余す骨ばった手、長い指。
その指がふわふわした色素の薄い柔らかい髪を弄る。

その下にはオレとは違う瞳。吸い込まれそうな色。



これだから嫌なんだ。黙っている利央はいつもの利央じゃなくて。
そんな利央をキレイだなんて思ってしまう自分にムカツク。
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