銀魂

□浴びる程の酒で
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「…酒、呑むぞ。」

「わかりやした。」






珍しく土方さんが酒を呑もうと誘ってきた。

何かあったんだろうな−…

と思った。


平静を保とうとしている土方さんの目の奥に、怒りとも哀しみともいえない何かを感じたから。

土方さんを、どこかとてつもなく深い所に感じたから。






あの人は今、暗い闇に一人で突っ立ってるんだと思う。

真っ暗の中にたった一人なんだと思う。




すぐにでも手を差し延べてその暗闇から引きずりだしてやりたいけど、俺には出来ない。



今のあの人に触れちゃいけないような気がするから。

俺には何も出来ない気がするから。




ただ

俺に出来る事は

あの人が
さりげなく俺を求めた時に


『傍に居てやる』こと。




あの人が俺を必要とするなら、いつまでも傍に居る。

あの人が深い苦しみから少しでも開放されるのなら。






酒を呑むあの人の背中がいつもより小さくみえた。


顔を背けて、肩を震わせて鼻をすすっていたのを俺は見ていた。






俺は気付かないフリをして酒を一口呑んだ。







今日はあまり呑まないつもりだ。




酔い潰れたあの人に肩を貸して、屯所に帰ろう。











土方さん、呑み過ぎでさァ




end.



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