小説
□私(だけ)の主人
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「ねぇ白璃、今日ボクたちに執事がつくらしいよ?」
「ほんとに?何人目かな?いつまで続くかな?」
黒髪の少年が白髪の少年に言う。
白璃と呼ばれた白髪の少年は自分を呼んだ黒髪の少年に振り向き笑みを浮かべ答える。
二人は見詰め合い
笑みを浮かべた……。
コンコン
ガチャ…
扉の前で立って居たのは全身黒着くめの二十代前半の男性。扉が開き出て来たのは四十後半の女性、少し疲れた顔をしている。男性は不審に思いながらも丁寧にお辞儀をして挨拶をする。
「初めまして。今日から此方でお世話になります。かん「待っていました!さぁ早く手伝って下さい!」
男性の正体を確認したら名乗りを遮り慌てて言う。
男性は眉に皺を寄せながらも付いてく。
案内されたのは一つの部屋の前だった。
そこで女性は男性の方へ振り返り緊張した面持ちで一言……。
女性「後は…任せました…」
男性「……えっ?」
女性「これから貴方がどのような方につくのか、説明するよりも体験したほうが良いでしょう。部屋に入ったらとりあえず“探してください”」
男性「探す?」
女性「はい」
男性「……状況が把握出来ないのですが?」
男性は女性に説明を促すが女性は首を横に振りまた一言。
女性「頑張って下さい」
そう言うと早足で去って行く。男性は一人残され少し考えた後、扉に向き直り一言呟いた。
男性「めんどくせ」
その呟きを聞いた者は居ない。そして男性は無表情で扉をノックし部屋に入った。
部屋に入ると部屋は昼間なのにカーテンで締め切られ真っ暗だった。
男性は眉間に皺を寄せ電源のスイッチを探す。見付けると電源をいれるがつかない。
何度か試したがつかず諦めると周りを見渡す。見渡す限り真っ暗で何も見えない。
男性「(はぁ…慣れるまで待つか……)」
目が慣れるまで待つことにした男性は扉を背にしてじっと待つ。
数十分が経ち漸く目が慣れてきた男性はもう一度周りを見渡す。
すると大体の部屋の大きさ、家具の位置が分かって来た。
部屋は無駄に広かった。そして部屋に不釣り合いなくらい家具は少なく必要最低限の物しか無い。そして明らかに怪しい物が怪しい位置にいっぱいあった。
まるで隠れる為のような…。
そこで男性は女性の言葉を思い出した。
“探してください”
男性「…なるほど…」
理解した男性は先ず真っ直ぐと怪しい位置にある物を無視してクローゼットの中を開けた。
男性「さて。見付けましたよ?黒璃様、白璃様」
「…………えへっ」
「ちっ……」
男性「…………」
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