長編
□第三話
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一歩
一歩
また一歩と自然の中を歩いて行く
歩く度に
サクッ
サクッ
土や草を踏む音がする
『第二のアリスが来たのかしら?』
私はそう言い番人の彼に笑った
「何を企んでいるんだ?」
彼は私に問い掛けた
『何も企んでないわ』
「だったら何故…『ねぇ』…何だ?」
彼が聞こうとしてきた事がわかったから私は、彼の言葉を渡った
そうすれば彼は思った通り不機嫌な顔で答えてきた
『あなたは、気にしないで良いのよ?
ただ、まだまだ未熟な、第二のアリスを支えてくれれば』
そう言えば彼は、悲痛な顔をした
「何故、僕が…?」
『お願いね…―――』
チュッ…―
私は彼の額にそっとキスをした
そして私は彼の前から消えて行った
悲痛な顔で
「行くな…アリスっ」
そう言っていた彼の言葉を聞かなかった事にして
そして
頬を流れた何かに気付かなかった事にして
―ごめんね―
。