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□とある朝の、二人の事情。
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聞きなれた目覚まし時計の音が鳴る。
ゆっくりと顔を上げ時刻を確認するといつもの時間。
起きて仕事へと向かう準備をしなければいけない時間だ。

「眠い〜〜仕事行きたくない・・・」

布団を引っ張って頭まですっぽりと被った。
あと五分だけ、なんて思いながらまた夢の世界へ戻ろうと思った矢先に携帯のアラームが鳴り出した。
朝の苦手な私は目覚まし時計と携帯の二段構えだ。

時計なんて見たくない、この世の時計なんて全て無くなってしまえばいいのに!
・・・そうも言ってられず、一つため息をついてゆっくりと布団から顔を出す。
音を立てないように布団から抜け出してそして目線だけそろりと隣へとうつす。


(・・・よく眠ってる・・)


そこにはまだ夢の世界で過ごしている大好きな人。
目覚ましの音にもビクともしない程に深く眠ってる。相当疲れてるのかな・・
私が起きるまできっと抱きしめていてくれた腕は空いた隙間で力なく倒れている。
衣服を身に纏ってない身体が嫌でも目に入る。

細く見える身体は意外とがっしりとしていてすごく引き締まってる。
自分の身体とは全く違うこの人の身体は芸術品のようだ。

(かっこいいなぁ〜・・・)

思わず見惚れてしまう。
だって、こんなにかっこいい人他には知らない。
そっと寝ているテルさんの顔に手を添えて起こさないように撫でる。
今日はテルさん一日オフだって言ってたからこのままゆっくり寝かせといてあげよう。
心の中で行ってきますを言ってベットから腰を上げようとした時ぐいっと腕を引かれた。
バランスを崩してそのままベットに倒れて驚きながら首を捻ると笑顔のテルさんがいた。

「おはよう、名無しさん。」

「お、おはようございます・・・起こしちゃいました?」

「んー、今起きた。」

まだ眠そうに目を擦るテルさんが何だか子供のように見えてしまう。
あーもう少しテルさんを見ていたかったなぁ。
何で今日仕事なんだろうと理不尽な事を考えてしまう。


「・・・とりあえず私仕事に行かないといけないんで、いってきますね?」

「えーー行くの?」

「行きますよ。お休みじゃないもん」

「お休みにしちゃったら?」

「そんな事できませんって・・・うあっ!!」


再度ベットから立ち上がろうとするとまた腕を引かれてベットへと引き込まれる。
あ、と息つく暇もないままテルさんが私の上へと覆いかぶさってきた。



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