UNDER
□月と太陽
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「・・・・・っう」
部屋へ流れ込む風。
揺れるカーテンの隙間から覗く真っ暗な空に浮かぶ月。
その月明かりだけが寝室を照らす唯一の光。
ひどくぼんやりとした光がやけに心地良い。
静まりかえった部屋に響くのは自分の吐息。
熱い熱い吐息。
「名無しさん・・・・」
口から漏れるのは愛しい人の名前。“片思い”なんていうのはこの歳では恥ずかしすぎて
まだ誰にも打ち明けられないでいる気持ち。
彼女はきっと自分の事など恋愛対象としていないだろう。
けれども俺にとっては最初から“女”だった。
名無しさんが欲しいと・・・自分のものにしたいと心の底から思った。
「名無しさん・・・名無しさん・・・・」
彼女の名前を口にするだけでわずかに心が温まる。
けれどもそれは長くもたない。
何度もうわごとのように呟く。
「はぁっ・・・」
うずまく欲望。
ただ想っているだけでは満たされない心。
その隙間を埋めろ、と
もう限界だと自身の身体が悲鳴を上げる。
慣れた手つきで自分の熱くなったものへと手をのばす。
包み込むように触れゆっくりと擦り上げる。
完全に反り返り天を向くソレは愛しい彼女を想った証拠。
罪悪感がまるで無いと言えば嘘になる。
こうやって行き場の無い気持ちをこの行為へとぶつけ、頭の中で彼女を汚し何度も何度も自分が満足いくまで犯す。
妄想の中の彼女は何度も俺の下で俺の名前を呼び俺を求める。
それがとてもたまらない。