Short Dream
□ボクを悩ますリトル・レディ
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背後に動く気配を感じて目が覚めた。
目をうっすらと開けながら寝返り、未だもぞもぞと動く物体に腕を回す。
「・・・なにしてんだ?」
寝起きの掠れた声が出た。
動く物体。コイツに聞こえただろうか?とも思ったがどうやら心配はいらないようだった。
「あ、ヒサシ起きた?おはよう」
「はよ」
「もしかして起こしちゃったかな?ごめんねー」
"ごめん"なんて本人は言ってるがその表情に謝罪の色は無い。
むしろ笑顔だ。
・・・まぁいいけど。
窓の外を見ればまだ日はそんなに高くない。
もう少し寝れるだろうと思い腕の中の名無しさんを引き寄せる。
あー・・・温い。
「ねぇねぇヒサシ」
「んー」
「お願いがあるんだけど?」
「なに」
「・・・腹筋見ていい?」
「は?」
「いい?」
「いや、ちょっ・・・おい!」
「勝手に見させて頂きまーす」
俺の制止の声も無視して名無しさんは布団に潜ると遠慮なんて言葉をまったく知らないようかのように勢いよく俺の服を捲りはじめた。
そしてぺたぺたと触り始める。
まぁ、それなりに体力作りには気をつけている(と思う)し、ジムにも(たまに)通ってる。
そんなブヨブヨした腹じゃない事は確かだ。
どちらかというと引き締まっている方だと思う。
とりあえずやりたいようにやらせておこう。
それがいい。・・・・誘ってるわけじゃなさそうだし。
そのままぼーっとしていると再び睡魔が襲ってきたので目を閉じた。
「はぁ〜暑かったっ」
布団から顔を出した名無しさんを抱き寄せる。
「腹筋拝見させて頂きましたっ」
「んー」
「結構かっちりしてるよね!意外〜」
「んー」
「やっぱり男の人ですねぇ〜感動したっ!」
・・・何で朝からこんなにテンション高いのコイツ?
腕の中できゃっきゃっと騒ぐ名無しさんに、いい加減寝てくれ頼むからの意味も込めて少し強めに抱きしめる。
「くるしー!苦しいよヒサシ!」
「・・・・・」
「眠いの?・・・まぁいっか腹筋見れたしね!・・おやすみなさーい」
「・・・・」
あぁやっと静かに眠れる。
布団を引き寄せて名無しさんの頭まですっぽりと覆わせる。
これで完全に寝る体制に入れる。
あと2時間・・・・いや、3時間は寝たい。
・・・でもまぁ、起きて俺の機嫌がよかったら少しは名無しさんに構ってやろう。
そういえば買い物に行きたいと言ってた気がするから連れて行くのも悪くないかもしれない。たまにはな。
なんていう事をぼんやりと考えていると布団の中からくぐもった声が聞こえた。
「・・・・・でも腹筋はテルさんの方が勝ちかなぁ」
「・・・は?」
その言葉に驚いて思わず声を上げてしまった。
今、コイツ、何て言った・・・?
テルさん?勝ち・・・??
「おい・・・それどーいう意味だ?」
「あれ?まだ寝てなかったの?」
布団から顔を出し、きょとんとして俺を見上げる名無しさん。
いや、きょとんとしたいの俺の方だから。
ていうかお前、ちょっとまて、
「・・・お前・・
テルの腹筋なんていつ見たんだ?」
ボクを悩ますリトル・レディ
「最近ヒサシよくジムに通うようになったねぇ関心関心!」「(・・誰の為だと思ってるんだ・・・!!)」
END*
"キミとボクシリーズ"
付き合いたてくらい。