Short Dream

□抱きしめよう この手で 何もかも
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「立ち聞きなんて悪趣味ですよ。ジロウさん。」

「あ、バレてた?」

「その髪の色目立ちますもん・・・・いつから聞いてたんですか?」

「んー、名無しさんが"別れたいってどういう事?"って言ったくらいから」

「・・・最初からじゃないですか」

「うん。だって名無しさんが彼氏・・・あ、元彼に連れてかれるの見て付いてきたからね」

「・・・・・」

「そんな目元に涙めいっぱい溜めて睨まれたって全然怖くないよ?」

「・・・一人にさせて下さい。」

「何で?」

「何でって・・・一人になりたいんです」

「一人になって泣くの?」

「そういうわけじゃないですけど・・」

「じゃあいいじゃん」

「ジロウさんて結構残酷ですね」

「いいよ、残酷だと思ってくれて。
だって俺、今めちゃくちゃ浮かれてるからね」

「?」

「やっと名無しさんがアイツと別れてくれたからね」

「え、」

「ねぇ名無しさん、俺の胸いま空いてるんだけどさ、よかったら貸してあげようか?」

「・・・・」

「今日だけ特別。
 好きなだけ使っていいよ。俺に甘えたらいいよ。そして早くあんな奴の事忘れてよ。」

「・・・・・・・・ありがとうジロウさん。」

「(・・・じゃないと俺が可哀相だからさ)」






きしめよう の手で もかも
悪いけど俺は弱ってるところにつけこむよ?
やっと手にしたチャンスだからね。









END*

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