Short Dream

□淡恋【後編】
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「あはは!傑作だなぁ〜」


「そんなに笑わないで下さいよ・・・」


目に涙まで浮かべて笑うのはリーダーのタクローさん。
そんな笑うような所があっただろうか?こっちは顔が青ざめる思いだったのに。



私はテルさんの部屋を飛び出た後にパニック状態のまま近くを走っていたタクシーに飛び乗った。

そして運転手のおじさんに行き先は?と聞かれてハッとした。
所持金は等はバックの中。
そのバックはきっとテルさんの部屋にあるだろう。

時計を見るともうスタジオに入らないといけない時間。
それに確か今日はボーカル撮りが無いはずだ。
その為テルさんがスタジオに来る事はないだろう。
一度自分の家に帰る暇も無いし私は運転手のおじさんにスタジオのある場所を告げた。


そして偶然にもスタジオに入ろうとしていたタクローさんを捕まえてタクシー代を出して貰った。


「いやぁすごい剣幕でやってきてさ、“お金貸して下さい!”だもん。
何事かと思ったよ。」


まだケラケラと笑う彼に私はお金を借りてる手前何も言い返せない。
タクローさんは嫌な顔一つせずタクシー代を出してくれた後に何かあったの?
と心配そうに聞いてくれた。
言おうかどうしようか迷ったが、巻き込んでしまった理由も言わないといけないし
何より昨日私が酔いつぶれた後の話が聞きたかった。

彼なら昨日同じ場にいたし何かしら知っているだろうと思ったから。

思い切ってタクローさんに話した。
今朝のテルさんの部屋での出来事を。
タクローさんは私がテルさんを突き飛ばした事にまたお腹をかかえて笑っていたけどお構い無しに話を続けた。

でもキスされそうになった事は言えなかった。

なんか気まずいし、勘違いじゃないの?と思われたら恥ずかしいから。
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