Short Dream

□君のもの
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突然後ろから抱き寄せられ驚いて動きを止めてしまった。

腰に回された腕は私のお腹の辺りで組まれ、二人の身体が密着する。


「テルさん?」


「んー・・・・・」


私の首筋に顔を埋めたまま曖昧な返事をするテルさん。
私は料理する手を止め首だけで後ろを振り返る。


「どうかしたの?」


「別に・・・」


そう言って私の首筋へと軽く音を立てながらキスを落としていく。

それが少しくすぐったくて身を捩るけど彼は離してくれそうにない。


「・・・・・なんか、さ・・」


「ん?」


「・・・・いいなぁ〜と思って。」


「何が?」


「名無しさんが側にいて、
キッチンに立って料理して。
それを眺めてるのがなんかいいなぁ〜って。」


「わっ!」


テルさんの腕に力が入ったかと思うと、反転させられ持ち上げられた。

そのまま私をシンクに座らせると両手を縁に付いて見上げてくる。



「最高に幸せだなって思ってた。」



目尻を下げ、ふわりと優しい微笑みを向けられ急に胸が熱くなった。

今度は私から抱きつき、ぎゅっと力を込める。



「ずっと側にいてね。」



耳元で呟かれた言葉に私は涙目になりながらずっと頷いていた。



君のもの
君を抱きしめる腕も 愛を囁く唇も 
君を愛おしく想う気持ちも全部全部 俺の全てが君のもの



END*


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