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□少しだけ
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「すみません・・・」
気が付くと、僕は彼を抱きしめていた。
彼の後ろから、暖かな体に腕を回して。
「・・・謝る順番間違えてないか?」
彼は、少し怒ったような苛立ったような・・声は震えていた。
「すみません・・・・」
抱きしめる腕は自然と力を増して。
でも僕は謝る事しか出来なかった。
「少しだけ、このままで・・・」
やっとの事で、願いだけを吐き出す。
何か不安で、怖くて・・・
僕はこの人を守りたいと、守るためにココにいるのに。
守るべき人に、救いを乞うてしまう。
「・・・・・・・・」
彼のため息が聞こえた。
「・・・・少しだけだからな」
そういって、彼はもう一度ため息をついた。
そして、前に回された僕の腕に、そっと手を添えてくる。
「お前が落ち着くまでだから」
愛しくて。
このまま、時が止まればと
そう願う。
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みくしに先行UPした古キョンです。
たまには弱気ないっちゃんでいいと思う。
200806up