SS

□少しだけ
1ページ/1ページ

「すみません・・・」

気が付くと、僕は彼を抱きしめていた。

彼の後ろから、暖かな体に腕を回して。

「・・・謝る順番間違えてないか?」

彼は、少し怒ったような苛立ったような・・声は震えていた。

「すみません・・・・」

抱きしめる腕は自然と力を増して。

でも僕は謝る事しか出来なかった。

「少しだけ、このままで・・・」

やっとの事で、願いだけを吐き出す。

何か不安で、怖くて・・・

僕はこの人を守りたいと、守るためにココにいるのに。

守るべき人に、救いを乞うてしまう。

「・・・・・・・・」

彼のため息が聞こえた。





「・・・・少しだけだからな」


そういって、彼はもう一度ため息をついた。

そして、前に回された僕の腕に、そっと手を添えてくる。


「お前が落ち着くまでだから」


愛しくて。



このまま、時が止まればと


そう願う。

********************
みくしに先行UPした古キョンです。
たまには弱気ないっちゃんでいいと思う。

200806up


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ