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□初夏
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初夏の日差しが暑苦しくなってきたときのこと
僕たちは、いつも通りの毎日を過ごしてきたわけであった。


「あぢぃ」
「ほら、要がいつも怒ってるから地球温暖化が促進してるんだって前から言ってるじゃん」
「お前らが怒らすからだろ!」
「ま、まぁまぁ2人とも落ち着いて下さいよ」


いつものように過ごしていく日々の中でいつものように事件が起こるのが日課だった。


「はぁ・・・チャリで来て正解だな」
「うーわ!!要っちずりぃの!!一人だけチャリ通とかリッチ気取りかよ〜!!」
「るせぇな。あちぃんだから勝手だろ」


塚原要は一人自転車で登校していた。
外野に文句を言われながらも自転車置き場に直行して鍵を差した瞬間・・・


「ありがとう。」


すーっと悠太が自転車に乗り走り出した。


「ちょ、おい!!悠太!!」
「あ〜悠太ずるーい。俺も・・・」


天才的なスピードで自転車の後ろに飛び乗り、悠太に抱きついた


「ちょっと祐希くん・・・お兄ちゃんコケたらどうするの」
「大丈夫。そんなおちゃめな悠太も素敵だよ」
「ちょっと待て!!」


自転車ですーっと前を走る後ろを要・千鶴・春と続き追いかける


「お前ら待てー!!」
「いやいや、俺たちはもう止まるところを知らないから。愛の逃避行中だから邪魔しないで」
「そうだよ要。今急発進して二人の距離が近づいてきたんだから。」
「物理的に抱きついてるだけだろ!!」
「要くん!!怒るともっと暑くなりますよ」


後ろをばたばたと騒ぎながら走る三人と前を涼しい顔で走る二人がすごく対照的だったわけだが・・・


「はぁ・・・はぁ・・・あっちぃじゃねーかぁ!!!!」
「僕も・・・もう無理です」
「はぁ・・・ゆうたんもゆっきーも速すぎ」


ついに走行組ダウン


「じゃあ俺らもこのまま帰ろうか」
「そうだね」


要の悲痛な叫びはどちらの耳にも届かず、ただ夏の太陽に吸収されていくのみだった



END

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