書庫X

□tricky
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それはいつも突然にやってきて、俺を悩ませる




「やぁ、ルルーシュ」


とてつもない笑顔を向けながらまたあいつはやってきた。


「・・・また貴方ですか??」
「またって何だ??俺は毎日でも会いに行くぞ??」


はぁ・・・これだから困る。
突然会いに来て、俺を揺らがせる。
どんなに我慢しようとも、貴方から会いに来られては為す術がない。


「俺は宿題をやっているので貴方を構う暇はありません」


たまにきっぱりと断っても貴方は決まって


「終わるまで待っててあげよう。」


そう言って俺に笑顔を見せて隣に座る
貴方が隣にいるんだから、落ち着いて宿題なんかできない。俺は貴方が好きだから


「はぁ・・・いいですよ。」


観念してぱたんとノートを閉じて向きなおる。
貴方が嬉しそうに笑うから、俺も顔が赤くなってしまう


「ルルーシュ。」
「・・・何ですか??」


いつもと違う真剣な瞳に思わずドキッとしてしまう自分に、やはり兄様が好きなんだと再認識させる。


「父上の監視の目が厳しくなり・・・今後会いにいくことが困難になってしまった。」
「・・・え??」


それはつまり"会いに行けない"ということ
こんなに愛しているのに会いに来てくれないと言うこと。
いつもは来て欲しくなくても来るくせに・・・
いつでも来るって約束したくせに


「ルルーシュ??」


心配そうに俺を見つめてくるその二つの瞳が俺が泣いているということを認識して揺らぐ


「俺は、別に・・・必要以上に貴方に会わなくていいなら・・・清々しますよ」


泣いているくせに思ってもないことを言ってしまう。
すごく滑稽だと自分でも思った。
本当はもっと貴方と一緒にいたい
貴方の温もりを近くで感じていたい


「・・・ルルーシュ」


ぎゅっと優しく後ろから抱きしめてくる
やめてくれ・・・涙が止まらなくなるから。


「・・・ごめん・・・今の話は嘘だ」
「・・・・・・は??」


どういう意味だ??何が起こったんだ??


「ルルーシュがいつも避けるから少し試したかった。私のエゴでお前を付き合わせてしまっているなんて嫌だから・・・騙してすまなかった」


一層強く抱きしめてくる貴方に少しの憎しみとたくさんの愛しさがこみ上げてきた。


「俺は好きじゃない人にこんな風にされませんから」



少し強がって言ってみたら兄様は笑っていた。
こんな笑顔を見せてくれるなら・・・俺を翻弄していてもいいと思ってしまった。



END

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