るろうに二人

□そして仲間がまた一人
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「…流石に頑丈だな。」




じっと、斬左さんを見据える剣心さん。




「龍槌閃をくらって、倒れなかった男は、お主が始めてでござるよ。」





視線の先の斬左さんは下を向いているが、立っている。




「立っているのがやっとでござろう。」




剣心さんの言うとおり、斬左さんの足はガクガクと震えている。





「今薬箱を持ってくる。華乃殿、頼む。」

『は…はい!』





剣心さんがそう言ったところで、皆ほっと胸を撫で下ろす。

終わった、誰もがそう思った瞬間。




「まだだ!まだ終わっちゃいねェ。俺は倒れてねェ!!負けてねェ!!」




そう言う斬左さんの呼吸は激しく乱れている。
闘えないのは、結局は負けてしまうのは目に見えている。




「「相楽」と「赤報隊」の名にかけて、殺されようと維新志士【てめぇ】には負けられねェ!」





無理だ、分かっているのに負けたくは無い。
ざっと、剣心さんは斬左さんに向かい合い歩み寄る。




「剣心…」





まさか、と考えてしまう。
まさか、まだこれ以上やりあうというのか。



「そうだ、来い!きやがれ!!」



ボグッ
言った斬左さんを、剣心さんは殴った。




『え』




それは、皆が想像もしなかったこと。




「喧嘩の相手が違うのではござらんか。」




剣心さんは、斬左さんに問いかける。





「赤報隊がお主に教えたのは、維新志士を倒すことか。
それとも維新を達成することか。」

「うるせェ、てめえが言うなッ!
偽りの新時代をでっち上げて、満足してる維新志士が、言うんじゃねェ!!」


「違うわよ!!」






唐突に、声を上げたのはお姉ちゃんだった。





「剣心はそんな維新志士じゃないわ。官憲の栄職なんかに目もくれないで、剣で自由に人を守る、るろうによ!
勝手な喧嘩仕掛けて、勝手なことばかり言わないでよ!!」


『そ、そうですよ!!
剣心さんが、直接あなたに何かした訳でもないのに、そうやって恨むのはおかしいですよ!!!』





私の意見に、宗次郎君がコクコクと頷く。





「緋村さんは一度闘いを終わらせようとしたじゃないですか。
それは、あなたを心配してのことだって、思わないんですか!?」

「そーだぜ!これ以上おカド違いのケンカたろうってなら、剣心に代わってこの明神弥…」

「話がこじれるから下がるでござるよ。」





飛び出していった弥彦君を、剣心さんが制する。
斬左さんは私達の発言に驚いているようで。




「斬左、維新はまだ終わってはござらんよ。」




その言葉に目を見開かせた。



「確かに形だけの維新は、十年前成立し、新時代明治となった。
だが、本当に幸せを必要とする人々は、未だ弱者が虐げられる、古い時代の中にいる。」




全員が、今にも倒れてしまいそうな斬左さんを見据える。













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