るろうに二人
□動く理由
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理由もなく、動くのはそんなにおかしいこと?
ただ、助けたい。
その気持ちだけで、十分じゃないの?
第十二幕
「弥彦っ!」
剣心さんが弥彦君に駆け寄る。
『弥彦君!?』
剣心さんと私は、弥彦君の具合を見てみる。
「どうでぇ」
「どう、と言われても拙者解毒は…」
『私もまだ詳しくはよく……』
「とにかく傷口から毒を吸い出して―…」
「分かった!」
剣心さんが言い終わらないうちに、お姉ちゃんが弥彦君の腕に口を寄せていく。
『ちょ…おねえちゃ…「よしなさい!」
「!?」
私がお姉ちゃんを止めようとしたところで、恵さんが出てきた。
恵さんはグッとお姉ちゃんの肩を掴む。
「あなたは引っ込んでて!」
「お馬鹿!傷口から毒を吸い出すのは、細菌の感染を引きおこして、かえって良くないのよ!」
『え、あ…そ、そうだよ!ここでお姉ちゃんまで、こんなことになったら…!!!』
そのくらいの事なら、私でもわかる。
でも…恵さんって一体…?
「素人の出る幕じゃないわ、下がって!」
『(…素人…!?)』
「はぁ…はぁ…」
弥彦君の口から、苦しそうな息が漏れてくる。
開いた瞳孔が痛々しい。