過去拍手
□拍手D途中で終わらせてしまった代物
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-宗次郎-
晴天が続く、今日この頃。
どこまでも広がる青空の下を、宗次郎はのんびりと歩いていた。
「ん〜〜〜」
と、伸びを一つして、また歩き出す。
真実の答を探す旅に出て、早十年。
つまり、今現在、彼の年齢は二十八となる。
三十路もそう、遠くはない。
その容姿は、十年前と全くと言っていいほど、変わらないのだが。
それでもまだ、真実の答は見つからずにいた。
ふと気がつくと、宗次郎の後を、一匹の小さな黒い子犬がつけてきていることに、気がついた。
「?」
宗次郎の後を黙々と進んでいく。
立ち止まり、見ていると、子犬は宗次郎の足にぶつかり、一歩後ずさった。
だが、ぶつかった主が宗次郎だと分かると、足に飛びついた。
「え・・・?え――――?
なんなんでしょう・・・・・・この子・・・。」
少々困ったような素振りをした後、子犬を抱き上げ、目の位置を同じにする。
「一緒に・・・来ますか?」
一人旅も、少し寂しくなってきた。
子犬は、ワンと一声上げる。
宗次郎はそれを、”承諾を得た”と見て、柔らかく笑んだ。
それは、十年前とは違うもの。
十年前には・・・感情が欠落していたあの頃には、出来なかったこと。
足を地に下ろしてやると、尻尾をパタパタと振った。
――志々雄さん。僕はまだ、旅を続けます。
――自分の行けるところまで。
――この子と・・・
「ところで、あなたの名前、”シシオ”とか、”ホウジ”とか、”ケンシン”とかってどうですか?」
言うと犬は、足に噛み付いた。
メスらしい。