るろうに二人
□るろうにとの出会い
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「神谷活心流」
「師範代、神谷薫」
「以上・・・・・・」
「おろ?」
「はい?」
道場の壁にかけられている札を読み上げ、彼らはそろって声をあげた。
すっとんきょうな声。
「あれ?そういえば、貴女の名前は無いですね?」
『あ、はい。
私は剣術のほうはできないんで…』
昔はやっていたけれど、お父さんが亡くなってからは、やる意味もないなと思ったから…
そこから医術の道に走り出したし。
それに、なにより……
「そもそも小さな流儀なんだけどね。」
私の思考を遮り、お姉ちゃんは語り始める。
「それでも私達門下十余人、力を合わせて頑張っていたのよ。
お父さんがいた頃は、もう少し、いてくれたんだけどね。」
喜兵衛さんに傷を診てもらっているお姉ちゃん。
私はその隣で、傷の様子を診ている。
「けれど二ヶ月程前、突如奴の辻斬りが始まって、今ではこの通り。」
「一人、また一人と、『抜刀斎』の名を恐れ、門下を去ってしまい、町の人は道場に寄り付こうともしない。」
お姉ちゃんの表情は、悲しみと憎しみで強ばっていた。
「人斬り抜刀斎は、明治になった今でも、人々に畏怖されているのよ。
何らかの理由で、神谷活心流を騙って陥れようとするのが、本当に抜刀斎かどうか、
皆目分からない。
けど、一刻も早く、奴の凶行を終わらせないことには・・・」
『・・・・・・っ』