るろうに二人
□蠢動
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じわじわと忍び寄る影
なにもできない自分がくやしい
第十六幕
桜舞い散る季節、春。
ぼんやりと小さな桜色を見ながら、道場へと足を進める。
『なんだかぽかぽかだね〜』
「変な表現ですね、華乃さん」
『そ、そうかな…でも、綺麗だよね…桜。』
「血を思わせますね」
『縁起でもないこと言わないでよ…よく言うけど…』
小国先生の所からの帰り道。
今日も今日とて宗次郎くんと一緒に。
久々に前川道場に行きたかったけど、と想いを馳せているともう門前。
私が門に触れようとしたその時、宗次郎くんが口を開いた。
「何か、血の匂い…しませんか?」
『え…?』
血の、匂い?
少し意識して空気を吸ってみるけれど、それらしい匂いはしない。
「(気のせい?)」
「おろ、華乃殿に宗次郎。」
『あ、剣心さん…それに皆も…』
「おかえりなさい」
丁度その時、皆が帰ってきた。
剣心さんは私の前を通り過ぎて行って、門を開けようとする。
「ねっ、華乃は反対だよね!!裏切ったりしないわよね!!!」
『えっと…何の話?あ、恵さんこんにちわ。』
「こんにちわ」
「帰れ女狐ー!!」
え、恵さんの話?