ぶっとび!!ジャ→ジ団
□箱入り娘の事情
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「只今帰りました。」
葵お嬢様はゆるやかに微笑みながらいつものごとく私たちに挨拶をくださる。
「お嬢様、今日はジャージの方たちとの集いはどうなさったのですか?」
「今日はみんな用事があるみたいです。」
葵お嬢様は私の質問にまで丁寧に答えてくださる。
荷物を預かるとお嬢様は制服のブレザーを脱ぎ、ハンガーに掛けると自室へ向かう。
私もその後を足音を立てないようにしてついていく。
自室に着くとお嬢様は着替えを始める。
私は今日のお嬢様の着替えをクローゼットから選ぶ。
お嬢様の洋服は私たちメイドが自分のセンスを頼りに選ぶことになっている。もちろん下着や靴下までも私たちメイドが選んで買ってくるのである。だからセンスの無いメイドはお嬢様に恥をかかせる、ということで採用試験もかなり厳しい。毎回の洋服選びも命がけだ。
「お嬢様、お召し物を、」
「ありがとう。そこに置いておいてください。」
一番厄介なことは、お嬢様自身に好みの服が無いということだ。