Remix Heart


□Remix Heartー第五章ー
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 ビッグスリーの、音姉曰く「不純異性交遊」により(どこがやねん)、生徒会と風紀委員による男女交際の規制が厳しくなった。

 しかも、孝平は生徒会役員、達哉さんはLCUのメンバーときたもんだから、規制強化に対する怒りの矛先は全て、雄真へと向けられた。 その上、御薙先生も音羽さんも面白がって見ているだけなので、高峰先輩が言ったという「不幸な相」もここに極まれりって感じだ。

 話が逸れたが、とにかくそんな事があったから、音姉の“潔癖”が鏡面加工もかくやという位に磨きがかかってしまったのだ。

由夢「ま、でも、お姉ちゃん的には助かるんじゃない? 兄さんがそれで忙しくなれば、今回は悪さしないだろうし」

音姫「う〜ん、そうだね。 生徒会の戦力を杉並君に集中出来るのは大きいね」

義之「・・・・・・」

 この姉妹は、一体俺をどんな目で見てんだ・・・・? よく思い返して見ろ!? 今年は大人しかったろ!? 撤回しろ、名誉毀損だぁっ!!!!

音姫「でも、楽しみだな〜」

義之「見に来なくてもいいからな」

 音姉の事だから、会場で派手な声援を送りかねない。 そう思って予防線を張ったのだが・・・・

音姫「絶対見に行くね♪」

 俺の言葉を無視して、満面の笑みで言った。

 言うんじゃなかった、と後悔のため息を吐いていると、由夢が意地の悪い笑みで俺を見る。 くそう・・・・・・

さくら「楽しそうだね〜」

 そんなやり取りを、さくらさんはニコニコとしながら眺めていた。

音姫「さくらさんも見に行かれますか?」

さくら「う〜ん、クリスマスパーティの日は、色々と仕事があるから無理かも」

 さくらさんは音姉の質問に残念そうに答えると、「それより」と言いながらグツグツと煮立っている鍋を指差した。

さくら「音姫ちゃん、だし汁がだいぶ煮詰まってるよ」

音姫「あ、そうですね。 ちょっと足した方がいいかも」

由夢「じゃあ、私がやります」

 そこですぐさま名乗りを上げたのは由夢だった。 場の空気が一瞬で凍りつく。

義之「えっ!?」

はりまお「くぅ〜ん・・・・・・」

 はりまおが、だらしなく尻尾を垂れ下げて情けなく一鳴きした。 何かマッサージ器の様にプルプルと震えている。

 激しくデジャビュを感じる・・・・・・いつかどこかで、似た様な展開を見た気が・・・・・・

義之「ゆゆ、由夢がやるのか!?」

由夢「何でそんなに動揺するのよ? 私が腕を振るう事に、何か問題でも?」

義之「いやほら、由夢はあまり料理得意じゃないよな?」

 至極不満そうに唇を尖らす由夢。 気持ちは分からんでもない。 だが、お前が“腕を振るう”と、LCUや御三家当主ですら一撃で抹殺出切る“即死攻撃”になりかねない。

 それに、この場にはさくらさんと音姉もいるのだから、わざわざ由夢が腕を振るう必要はない。 言葉を選びながら説得を試みるも・・・・・・

由夢「大丈夫だよ。 だし汁薄めて、醤油を足すだけなんですから」

 由夢は、面白くなさそうな顔をしながら醤油差しを手に取った。 そして、蓋を取ってドボドボと大量に投入する。

義之「うわああぁぁっ!? そんなに醤油をぶち込むなぁっ!!」

由夢「こ、これはちょっと手が滑っただけですっ! 一々大袈裟なんですよ。 多少味が濃くなったって、こうやって水で薄めれば・・・・・・」
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