キツネの恩返し

□3章(タイトル未定)
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「願いが決まったら教えて」と言われたあの日から一週間が過ぎた。
私はなぜかあの日以来、お昼時間に毎日生徒指導室隣の生徒会長室に呼ばれていた。
もちろんキツネの生徒会長に。

「みこ、願いは決まった?」
大きい立派な椅子と立派なデスクに腰掛けた会長は、小首をかしげてみこに問うた。
ちょうど会長の後にある窓から、カーテン越しに柔らかな光が差し込み、会長の色素の薄い髪は光に反射して金髪のようにキラキラと輝いていた。

ここ毎日同じ質問ばかりされて、うんざりしているみこは昼ごはんのサンドウィッチを食みながら答えた。
「きまってまふぇん。」

「食べながら、喋らないの。行儀悪いよ。」

喋っているときに話しかけるほうが悪い。
「すみまふぇん。」

一週間毎日お昼を共にしているうちに、会長はみこを名前で呼ぶようになり、みこの警戒心も解けて最近はこんな感じだ。

注意を全く聞いていないみこにキツネの生徒会長は苦笑いを返す。
「まぁ、願い事はゆっくりでいいから・・・・」

口の中の物を野菜ジュースで流し込み、みこは言葉を返す。
「なら、毎日毎日急かすように同じ質問しないで下さい。」

「だって、真剣に考えてなさそうな気がするから。」
会長は口を尖らせながら、随分不満そうな様子だ。

「真剣に考えた結果、「これ以上私に関わって欲しくない」っていう願いをしたんですよ。」
その願いは、契約がどうとか対価に対して願いが小さすぎるという理由で却下されてしまた。
サンドウィッチから目を話すことなくみこは、2口目をいただく。

「でも、その割には毎日ここに来てくれるよね?しかも今日は、呼び出さなくても来てくれたじゃーん。」
そう言った、会長の顔は何が面白いのかにやついている。

「だって、ここ昼寝に最適だから」
やたら立派な会長専用デスクと4人がけの作業机があるここは、狭すぎず広すぎずでくつろぐには丁度よい。昼休みは得に静かなので食後の昼寝には最適なためみこはここを気に入っていた。

手元のサンドウィッチから目を離し、会長の方を見ると会長はやっぱりという顔をしている。
「みこは、寝ることと、サンドウィッチ以外に好きなものないの?」

「うーん、さぁ・・・どうでしょう。」
考えれば何かあるはず、何かあるはずなんだけど考えるのが面倒だったので適当にごまかした。
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