頂き物
□月籠×ことのせ
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一期一会
澄み渡る青い空
そよそよと撫でるような柔らかな風を肌で感じながら歩く二人の人物…
「あ〜〜っ、腹減った!」
一人の青年が子供の様に喚く中、少し先を歩く女性は呆れたように溜め息を付く。
「後少しで目的地だから我慢しろ、」
「やだ!半日も掛かるんだぞ!何処かで休みたーい!」
「確か休憩所がある筈だが…」
実は少女も青年と同じ様にお腹が空いている。一刻も早く休憩所でお茶を飲みたい。
早く歩け。
無駄な時間を使いたくない。
……面倒臭い。
少女が青年に思う心境はこれらだ。
「はぁ〜〜〜………あっ!!」
突然声を上げる青年、少女もその意味を知っていた。
「おっ、お団子だぁぁ〜〜〜っ!」
緑の瞳が爛々と輝く。
道の先には綺麗な字で書かれた『お団子』という文字。
「『ルウ』行くぞ!」
ダッ、と駆け出す青年、ルウと呼ばれた少女は黒い髪を耳に掛けると、青年の後を追った。
...
「ケケケッ、」
「はっ、四郎さんが喜んでる!」
不気味な笑い声を上げる長身な男、四郎と呼ばれた彼は再び不気味な笑いを上げると足を速める。
その後ろを慣れたように歩く少女と疲労が隠せない少年は男の後を追う。
「八重助君、茶屋があるよ!」
少女の声に少年は希望の光を見たのか目を細め、先にある茶屋に綻んだ。
二つの道が合流するように混じる道の先、旅人達の休憩所としてある茶屋。『お団子』と書かれた旗がはためくのが遠目からでもわかる。
「こっちの道を行けば町に着ますが…どうしますか?」
「茶屋に行きましょう!」
別れ道で確認にと二人に意見を伺う文ちゃんに八重助は力強く頷き、四郎は目を細く細める。
「ケケケ、」
金色の絹糸の様な髪が風に靡く中、少年二人、少女一人は茶屋へと足を速めた。