雛鼠作

□クリスマス当日
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『何とかイブには間に合いそうだ』

突然サスケから電話でそう言われ、ナルトは焦った。
何も用意をしていない。

『午前の便を押さえられたから、19時代に成田に着くと思う』
「お、おう」

今日は22日、今はお昼。
サスケが帰ってくるまで35時間ほどあるが、何ができるだろう?

『で、どこがいい?』
「へ?」
『聞いていなかったのか?レストランの予約をとるから、どこがいいか聞いてるんだ』

サスケに渡すプレゼントを何にしたらいいのか考えていたら、サスケの話を聞き逃してしまったらしい。
内容はイブのデートの場所を聞かれたらしい。
それを理解すると、ナルトは突然ハッとする。
イブに男2人が居酒屋でなく、レストラン。
顔もスタイルも良くて、女に不自由しそうにもないサスケ。
普段でさえ目立つサスケと一緒にいると下世話な勘ぐりが耳に入ってくるのに、イブともなればゲイカップル間違え無しの太鼓判を押されてしまうだろう。

「・・・じゃない方がいい」
『え?何だって?良く聞こえない』
「レストランじゃなくて、お前んちがいい」
『そうか?家まで帰ると9時すぎるだろうから、レストランと思ったんだが』
「イブに男2人でレストランなんて、周りの目が痛すぎるってばよ」

俺は気にしないけどな。と言うサスケに、そりゃあお前はそうだろうさとナルトは心の中で毒づく。
いつだって女性の嫉妬や、下手すると殺気まで含んだ視線を向けられるのは自分なのだ。

『じゃあ、どうするか?ケータリングでも頼むか?』
「2人しかいね、ーのにケータリングじゃ量多くねえ?」
『量が少ないのもあるが・・・』
「それに、今更いい所は無理だろ?俺が作るよ」

数年前、サスケとナルトの仲を知った上でサスケに猛アタックをした女性がいた。
その女性が作った物をそうとは知らずに食べたサスケの褒め言葉をきっかけに、ナルトは料理教室へ通うようになった。
今では自分の弁当を作って持っていくまでの、料理好きになっている。

『そうだな、久しぶりにお前の料理が食いたい』

サスケの言葉に、ナルトは顔が急に熱るのを感じる。

『日本を出発する前から食べて無いからな、楽しみだ』
「何くいてえ?ローストチキンとかミートパイとかか?」
『・・・お前さえ良ければ日本食がいい』
「日本食?」
『ああ、さっぱりした物がくいてえ』

出張先の食事が合わなかったらしい様子に、クリスマスだけど仕方ねえかと、思い描くクリスマスの食卓を諦める。

「なるべくさっぱりした物にするから、ケーキだけ買ってこいよ」
『解った』
「カットケーキでいいから、お前が食えるのも買ってくんだぞ」
『・・・解った』
「ん、じゃあ・・・待ってる」
『ああ、とにかく空港付いたら電話する』
「ん」

サスケの電話が切れると一瞬考え込むが、すぐにどこかへ電話をかける。
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