雛鼠作

□クリスマス準備編
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「まあ、あんたの考えてる事は解るけど、あの時断られてサスケ君相当ショックを受けてたわよ。今だって一緒に暮らしたいって思っていても、また断られたらって傷つくのが怖くて言い出せないだけなんだからね」
「でも俺、実際に一緒に住むつもり無いってばよ」
「とられても知らないわよ」
「え?」
「上司が娘連れて一人暮らしのサスケ君の家に乗り込んで、ご飯とか作ったらなし崩しに公認の仲になって上司の機嫌を損ねるわけにも行かずに結婚までとんとん拍子・・・とか」
「なっ!」
「超強引な子が押しの一手と酒の力で既成事実作っちゃうとか」
「そんな!」

サクラの例え話がありえなくないほど、サスケはアピールを受けている。
どこで何があるか解らない。
ナルトは自分の想い至らない事を言われて、焦る。

「でも、あんたが同じ部屋にいれば、居座るわけに行かないし。今言った手は利かなくなるわね」
「・・・」

サクラがナルトの目を覗き込むが、ナルトはスッと目線をはずすとサワーの残りを煽る。

「何で、こんな話をし出したか解る?」
「・・・サスケに頼まれた?」
「違うわよ。今日は遠距離恋愛の日なんですって」
「遠距離恋愛の日?なんで?」

今日と遠距離恋愛が結びつかなくて、ナルトはさっき目線をはずしたのも忘れてサクラを見る。

「もともと、アナウンサーが考えた事だったと思うけど、12月21日でしょ?続けて書くと1221。この1は人を表してて、2は近づいた二人を表してる。愛を確かめる日って事らしいの」
「へえ」
「だから、離れている二人に愛を確かめて欲しくって。今は本当に遠距離恋愛だけど、国内にいたって。下手すると同じ地域にいたって遠距離恋愛みたいじゃない。サスケ君がかわいそうよ」

そう言われたって、サスケの為にならない事はできないとナルトは思う。

「恋愛ってね、綺麗なだけじゃやってらん無いんだよ?時には相手の意見を無視してでも強引に出なきゃいけない事があるの。でも、サスケ君はあんたの為にそれを我慢している。あんたはサスケ君の為に同棲ができないって思ってるんでしょうけど、それって本当にサスケ君のため?一緒に住みたいと言ってる事を拒否するのが本当に相手の為?自分の為じゃないの?」

その言葉にナルトはハッとする。

「そう・・・なのかな?」
「サスケ君の将来を思っての考えであるとは思うけど、そこにサスケ君の想いはある?」

サクラの優しい声に、ナルトは素直に首を横に振る。

「じゃあ、サスケ君のナルトを心から愛してるって気持ちを入れて、考えてみて。サスケ君だってナルトが考えてる事なんてとっくに解ってると思うのよ。同じ事も考えたと思う。でも、好きなんだもん。四六時中一緒にいたいとおもって当たり前だよね」

サクラはナルトの手をとると、優しく握る。

「一緒に暮らしたほうがいいと思うよ。サスケ君がいつ帰ってくるか解らないけど、それまでちょっと考えてみて」

ね?
と言われて、ナルトは頷く。

「よし!じゃあ、飲みましょう。お料理もちゃんと食べて」
「う、うん」

寒さが身にしみるようになった冬の日常。
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