BLACK作
□10000回の愛してるを君に。
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晩秋の或る日、ナルトとサスケは二人でキッチンに立っていた。
サスケ「ナルト、苺のヘタ取れたぞ。」
ナルト「おう…って切り過ぎ!お前さ、別に白い所全部切らなくていいんだって。」
サスケ「そうなのか?」
ナルト「だーっ!いい加減少しは料理を覚えて欲しいってばよ〜。」
来たる十二月の忘年会。
二人に任されたのはケーキの用意だった。
勿論、購入した物の持ち込みがNGな訳では無いが、ナルトが抜擢された理由こそ手作りを期待されての人選だった訳で、そう言われてしまえば腕を振るわざるを得ないのがナルトの性分だ。
ナルト「三種類…。四種類…?」
洋菓子店のカタログを捲りながら指折り数えるナルト。
「苺とチョコだけじゃダメなのか?」と言うサスケの問いに、「それじゃあ俺のプライドが許さないってばよ。」と放ったナルトの目は真剣だった。
ナルト「和スイーツ…。抹茶と小豆か…。あ、そっか、ヒナタの為にシナモンロールは外せないってばよ。」
真面目に考えるナルトの“ヒナタの為に”と言う台詞に、醤油皿より小さいサスケの器にヒビが入る音がした。
サスケ「俺の為には何を作ってくれるんだ?」
ナルト「いや、お前甘いのダメじゃん。」
肩を組んでくるサスケをバッサリ斬り捨てる。
サスケ「俺の為には何を作ってくれるんだ?」
搾り器を拳銃の様に握り、金口をナルトのこめかみに当てる。
ナルト「いやだからさ、お前ってば甘いのダメ…」
ぶにゅう。
引き金が引かれた。
サスケ「この程度なら平気だ。」
ナルトの頬を伝うクリームを舌で舐め取る。
ナルト「特別甘くなく作ってやったのは誰だってばよ〜。」
サスケ「感謝してる。」
サスケは舌に乗せたクリームをナルトの口に押し込む。
ナルト「やっぱりもう少し甘くするか…。」
その反応が面白くなかったサスケは、ナルトの耳たぶに噛み付いた。
ナルト「やめぇーい!」
お玉で斬りかかるナルトに、サスケが泡立て器で応戦する。
チャンバラがヒートアップした結果、いつの間にか室内では組手が繰り広げられていた。
サスケ「よっ。」
ナルト「はっ!」
サスケ「甘いな。」
ナルト「隙有り!」
ナルトのパンチを敢えてギリギリの距離まで下がって回避したサスケの額に、デコピンが炸裂した。