BLACK作

□新春忍芸大会
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サクラ「で?どれをやってくれるの?」

ナルトとサスケに正座をさせ、腕組みをしたまま睨みつける様に見下ろすサクラは、箇条書きのメモを足で踏み鳴らす。

ナルト「また書類の期限を過ぎまして、マジでごめんなさい…ってばよ…。」
サスケ「俺はやりたくないと言った筈だが?」

サスケの不遜な態度に、サクラの手袋が音を立てて軋む。

サクラ「今年は里の復興支援も兼ねてるんだから、アンタ達の知名度だってこの際借りなきゃならないのよ。」
ナルト「ちなみになんだけどさ、他の奴はどんな事するんだ?」

ナルトの問いに、サクラは深呼吸をして手の力を抜く。

サクラ「キバは赤丸達忍犬とアクロバット曲芸、リーさんとガイ先生が演武、テンテンさんが中国独楽、サイが巨大書き初め、あと…」

会議室を借りて説教をしていたサクラの目に、窓の外を歩くヒナタが映る。

サクラ「ヒナター!こっち!ここよ!ネジさんて何やるんだっけ?」
ヒナタ「実は私も詳しく教えてもらって無いんだけど、『いつもより多く回ってやる!』って叫んでたよ?」
サクラ「ありがとー!…っとまぁ、そんなトコよ。他にも砂からカンクロウさんが来てくれて人形劇をやってくれたり、中忍の皆さんが屋台を出してくれたり色々だけどね。」

ほへ〜、と感心しているナルトを余所に、サスケはメモとにらめっこをしている。

サスケ「…漫談…できるかこんなモノ。…女形…お断りだ。…二人羽織…これはなんだ?」
サクラ「二人羽織自体は解るでしょ?だからって忍が普通に二人羽織やっても面白くないから、前を担当する方にも目隠しをして、気配とコンビネーションだけで激辛ラーメンを食べてもらうわ。」

メモを足で踏みながら、スッとナルトの前に出す。

ナルト「え〜…俺ってばまだ上の2つの方が…」
サスケ「解った。俺達は二人羽織をやろう。勿論前はナルトだ。」
ナルト「え〜〜っ!!」

目と口を大きく開けてサスケを見るが、サスケは目を閉じて聞こえないフリをする。

サクラ「じゃあ二人羽織に決定ね。そうすると…アンタ達の出番は夜中、日が変わってからになると思うわ。」
ナルト「マジかよ〜…。」

落胆するナルトを横目で見ながら、サクラはスッとメモを拾って背中を向ける。

サクラ「じゃあサスケ君、後で衣装合わせに来てくれるかしら?その時ついでに大まかな段取りと照明の打ち合わせをしちゃうから。」
サスケ「…解った。」

その瞬間、サクラとサスケの口角が揃って上を向いたのを、ナルトは見逃した。
そう、見逃したのだ。
ナルトだけが見逃した。
サクラの靴の下、小さく書かれた注釈を。
その小さなミスが己を地獄に叩き落とす事を、ナルトはまだ知らない…。


“ 二人羽織 (R-18) ”

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