BLACK作

□木の葉のこの子、元気な子
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戦利品で一杯の籠を背負い、手に昼食の包みを持って駆け出すナルト。
それを後ろから見ていたサスケは、ある種異様な光景に目を疑った。

サスケ「おい、ナルト…。」
ナルト「ん?」
サスケ「お前、そのキノコ…。」

サスケの視線を感じ、一本のキノコを手に取る。

ナルト「コレか?なんかデカくて旨そうだったから採ってみたってばよ。」
サスケ「それ、松茸だぞ。」
ナルト「へ〜…。なんか、いっぱいあったってばよ?」

その表情から意味を理解出来ていない事を悟ったサスケは、細かい説明をしない事にした。
ナルトの事だ、その価値を知ったら小遣いに化けてしまいかねない。

ナルト「ンな事より飯にしようぜ〜。」

葡萄の樹の根元に籠を下ろし、腰に提げた竹の水筒から水を一口。
じんわりかいた汗に、秋の風が心地良い。

ナルト「なんか、こんなにのんびりした誕生日、久し振りだってばよ。」
サスケ「今じゃお前は里の英雄だからな。里にいたらすぐに子供達に捕まっちまうだろ?」
ナルト「まあ…な。」
サスケ「ヒナタなんかその子供達に遠慮して前以上に遠くからお前を見てるぞ。」

白眼で、と心の中で付け足し、二人は大きく深呼吸をする。
食事の残骸を纏めるサスケの横で、ナルトが仰向けに寝転がる。
次にナルトの意識が覚醒したのは、やや肌寒さを感じた時だった。

サスケ「起きたか?」
ナルト「ん…俺ってば、寝てた?」
サスケ「ぐっすりな。」

ナルトが目を開けるとサスケの顔があり、頭の下に枕の存在を感じる。

ナルト「起こしてくれればいいのにー。」

ナルトが頭をグリグリと押し当てると、サスケが思わず痛ェと膝を曲げる。

サスケ「そろそろ帰るか?」
ナルト「ん。」

夕方を飛び越して、辺りはもう薄暗くなっていた。
二人は部屋に帰ると、ナルトは風呂に、サスケはキノコの仕分けを始めた。
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