BLACK作

□祭の前の後の祭
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しばらく談笑していると、背中から声が掛かった。

サイ「ナルト、いる?」
サクラ「サイ?ナルトならここにいるわよー!」
ナルト「なんだってばよ?」

半身を廊下に出したナルトを見付け、サイがニコリと笑う。

サイ「あぁ、良かった。伝言を頼まれてね。捜してたんだよ。」
シカマル「問題発生か?」
サイ「サクラとシカマルも一緒だったんだね。大問題って程のものじゃ無いんだけど、一応問題になるのかな?」

相変わらず要領を得ないサイの口調に、三人は揃って首を傾げる。

サイ「結論から言うと、デートの行以降、全カットになったから。」
ナルト「…へ?」
シカマル「全カットってお前…。」
サクラ「お蔵入りって事?」
サイ「うん。」

笑顔で答えるサイに、三人は言葉を失う。
正確に言えば、シカマルは何故お蔵入りになったのか理由を考え、サクラはサイに伝言を頼んだ人間のイタズラを疑い、ナルトは只々呆然としていた。

シカマル「デートの行以降って事は、イルカさん登場から先が全部カットって事か?」
サイ「うん。」
サクラ「それって、イルカさんの車に乗って天体観測に行くって話よね?あれがデネブ、アルタイル、ベガ、ってやつ。」
サイ「そうだね。」
ナルト「…なんでカット?」

力無く放たれたナルトの言葉は、サイに容赦無く打ち返される。

サイ「尺だって。」

きゅう。
という謎の音と共に、ナルトが潰れた。

ナルト「あんだけ苦労したのに…。」

とあるシーンだけで30回以上のリテイクを出されたナルトとしては、尺が足りないからカットなんて理由は余りにも酷であった。

サイ「とにかく、これで完成だから、もう帰っていいって。」
サクラ「せっかく来たのに、完成品見れないの?」
サイ「まだSEとかVFXのチェックが残ってるから、作業が終わるのは深夜になると思うけど。」
シカマル「じゃあまた明日来ないか?それなら間違いないだろ?」
サイ「うん。幾ら押しても朝までには終らせるよ。」

シカマルの提案にその場は纏まり、ナルトもサクラに支えられながら帰路に着いた。
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